パンチ島田のさすらい放湯記

宮下温泉 栄光舘

人災ともされる平成二十三年の只見川の氾濫で一階が浸水して泥塗れになったが、半年後にはリニューアルされて復活。それから十年以上経ち、最早痕跡は感じられず、外観から予想できない瀟洒で明るい館内には意表を突く軽快な音楽が流れる。やや土臭く、微かに緑がかった黄褐色の濁り湯は源泉かけ流し。二面がガラス張りの内湯からは、すぐ目の前に大谷川と只見川の合流点の河原が見渡せる。ここに激流が一気に押し寄せたらこの宿は一溜りもない。穏やかな午後のひと時、独り湯に浸かり、満開の自生の藤を眺めつつ、その日の惨状に思いを致した。

※温泉情報

①宿泊施設・〇二四一(五二)二六三六

②福島県大沼郡三島町大字宮下字塩水四一一三(JR只見線会津宮下駅から徒歩七分)

③六百円

④低張性―中性―高温泉・ナトリウム―塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉、筋肉痛・切り傷など

公式サイトはありません

(島田祐輔)

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