病気休暇取得時の「診断書必須」要件を一部緩和へ 全ての職員・教職員、非常勤職員の賃上げ、子の看護休暇の拡充、オンコール手当の実現など、秋に向けた取り組みを進めよう

 6月20日、府労組連は職員長との団体交渉を行い、総務部長へ重点要求を申し入れました。それを受けて、総務部長は府労組連に対し「2024夏季要求書」にかかる最終回答を行いました。

長年の要求が一歩前進

総務部長から示された最終回答では、私たちが11年間にわたって要求し続けた病気休暇取得時の診断書の提出要件について「入院の場合は『入院診療計画書』、通院の場合は通院した日に限り、年5日を限度とし、診察時の領収書等により認める」との回答を引き出しました。
そもそも、国や多くの他府県では7日未満の病気休暇の場合は診断書等の提出は必要なく、大阪府は2013年に制度を改悪し、診断書の提出を要件としました。府労組連は当時より制度改悪に反対するとともに、従来の制度に戻すよう要求し続けてきました。
今回の最終回答で示された内容は、不十分なものですが、長年にわたる要求と交渉によるものです。引き続き、国や他府県と同様の取扱いを求めつつ、子の看護休暇の拡充等、さらなる休暇制度の改善をめざします。

予防接種助成回数の拡大を検討(知事部局)

また、最終回答では「知事部局における予防接種の助成について「『定期の予防接種』等のワクチンを助成対象とし回数を最大年3回まで拡大するよう地方職員共済組合において検討」についても示されました。

働きやすい職場をめざし、人事委員会への要請と秋の交渉へ

府労組連がこの間の交渉で強く求め、現場の実態を踏まえて厳しく追及してきた▼全ての職員・教職員の生活改善につながる賃上げ、▼会計年度任用職員、非常勤講師等の待遇改善、▼「待機」業務体制の見直し、オンコール手当の支給、▼評価制度の中止、抜本的な見直し、▼時間外勤務解消と業務量に見合った大幅な職員・教職員体制の強化、▼子の看護休暇等、子育て・介護のための特別休暇の拡充、▼欠員補充、部分休暇取得時の非常勤職員配置、▼トイレの洋式化、▼時間外勤務時の空調運転などの要求に対する前進的な回答や説明はなく、きわめて不満の残る内容となりました。
府労組連は、交渉での到達点を確認し、今回の要求交渉をいったん終結するとともに、秋季年末要求交渉に向けて、大幅な賃金の引上げ、職員・教職員増をはじめ、働きやすい職場づくりをめざす取り組みを進めます。

知事部局・学校ともに評価制度アンケート実施

今回の交渉の中で、知事部局の人事評価制度と教職員の評価・育成システムについて、交渉で追及した結果、それぞれアンケートを実施するとの回答がありました。いずれも実施時期は、今年の夏頃としています。府労組連はアンケート結果も踏まえ、職場の声を集め、評価制度の中止・見直しも引き続き求めます。

【交渉での職場からの訴え】

*健康医療・保健所支部
部分休暇に人の補充を

私には小学5年生の息子がいる。手がかかる子なので部分休暇を取っているが、業務を減らしてもらうことはできず、部分休暇を取れない日も多々ある。職場のみなさんに負担をかけていることは承知し感謝しているが、業務量の多さに負担を感じている。
「長時間働けない私は辞めた方がいいのかな」と思うこともある。私は保健所の仕事が大好きであり、少しでも府民のこころの健康増進のために働きたいと思っている。子どもと丁寧に向き合わないといけない時期は人生のほんの少しだけ。これまで培ってきたスキルを活かしてこの仕事を続けていきたい。
最近は、若手職員の離職も増えている。せっかく思いをもって入職した仲間を大事にできる職場になってほしいと願う。職員の事情に合わせた働き方ができるようにしてもらいたい。

*土木現場支部
水防・災害対応に必要な手当の支給を

いつ起きてもおかしくない東南海・南海地震に備え、防災・減災対策の強化、住民の命と財産を守る使命を持つ公務員の予算・人員の確保が急務となっている。災害時の体制も阪神淡路大震災以降確立されたが、正規職員はほぼ半減、応援に行きたくても行けない状況になっている。
水防業務は、府民の生活と安全を守る重要な業務であり、休日や深夜帯においても即時対応が求められ、個人携帯に出勤命令があれば職員は直ちに出勤する。職場に到着したときに配備の軽減が発令され「ムダ足」となることもある。通勤は時間外勤務の対象外ということは理解するが、非常配備として職員に出勤命令を出した時点で職員は通常出勤ではなく拘束される。命令を受けた時点から時間外勤務手当の支給対象とするよう改善を求める。

*府高教
実習教員や再任用職員の待遇改善を

実習教員は教育職1級が適用されているが非常に劣悪。
22歳時点での教諭との賃金格差は月1万円だが、55歳時点での教諭との賃金格差は月9万2600円にも広がる。このような賃金を改善するために48歳で総括実習教員になり、2級に格付けされる制度はありますが、やっと総括になっても再任用になれば、また1級に落とされる。
実習教員は校務分掌、クラブ顧問など、座学を教え成績をつける以外の仕事は教諭と同様にすることができ、実際に行っている。実習教員の賃金改善を求める。少なくとも再任用賃金は全員2級にすることを強く求める。

*大障教
子の看護休暇の拡充、安心して子育てできる体制を

子の看護休暇の日数を増やしてほしいという声が強い。インフルエンザなどの感染症の場合は、すぐに使いきってしまうし、3人以上の子どもがいると全く足りません。中学生まで対象拡大してほしいという声も強くある。子どもがインフルエンザなり、タミフルを使用する場合は「必ず付き添ってください」と言われる。高熱等があれば1人で家においておくわけにいかない。子の看護休暇の拡充を強く求める。
支援学校では人手が足らず、講師の「穴あき」もあり、休みにくい状況になっている。子育て中の職員は「職場に迷惑をかけて申し訳ない」というしんどい思いをしている。その一方でまわりの教職員も、子育てを応援したいと思っても「体制がくめない、どう対応しようか」となる。制度の拡充とともに、教職員の数を増やし、ゆとりある職場環境の改善を強く求める。

2024年夏季要求「最終回答」と府労組連の態度

要求項目

回答要旨

態度(案)

1.労使慣行遵守

・経過を尊重し、双方の努力により築いていく。給与・勤務条件は、所要の協議を行っていく。

・遵守を求める

2.全ての職員・教職員、非常勤職員賃金引上げ、諸手当の拡充、待遇改善

・人事委員会勧告は労働基本権制約の代償措置であり尊重することが基本。府労組連の強い要求は人事委員会に伝える。令和6年4月より行政職給料表・技能労務職給料表3級の初号給水準を引上げ、3級昇格時の昇給幅拡大等を実施。

・非常勤職員の勤務労働条件は適切な対応に努め、府労組連と十分に協議を行う。非常勤講師の報酬及び支給方法の見直しは要求に応じることは困難。

・勤務時間外や休日等に実際に勤務した場合は、時間外勤務手当の支給対象。待機について手当等(オンコール手当)を新設することは、国や他府県の取扱いなどから困難。非常時の通勤に時間外勤務手当支給は困難。実際に業務を行った時間は支給する。

・交渉継続

3.一時金引上げ

現行条例に基づく期末・勤勉手当を6月28日に支給する。

・受諾

4.相対評価、評価・育成システム廃止、賃金反映撤回

・令和6年度より絶対評価・相対評価を5段階から6段階にし、分布割合も変更。職員アンケートを実施し、検証を行う。

・評価・育成システムについては、これまで所要の改正を図ってきた。教職員のアンケートを実施し、「教職員の評価・育成システム」の充実・改善を図っていく。

・交渉継続

5.府職員・教職員の定数増など、労働条件改善

・人員配置について必要な業務量に見合った適正な配置に努め、適正な勤務労働条件の確保等に向けて取り組む。

・教職員定数について、文部科学省において定数改善が行われたことを踏まえ配分を行った。国の動きを注視し、働きかけを行う。児童・生徒数の動向、教育水準や課題対応等を踏まえ、適正な定数管理に努め、適正な勤務労働条件の確保に向けて取り組む。

・交渉継続

6.異常な時間外勤務の解消、労働時間短縮(知事部局)

・「ゆとりの日及び週間」等の実施、時間外勤務命令の事前届出・命令の徹底、上限規制やシャットダウンシステムの導入などの取組みを行っている。令和6年度は、各部局において時間外勤務の縮減など職場環境・課題等を踏まえた取組み目標を設定し、実効性の確保に努めている。

・時間外勤務が月45時間を超え、産業医が必要と判断した場合、所属長に対し助言指導を行い、当該職員に対して保健指導を行っている。月100時間以上、もしくは2~6か月平均で80時間を超える場合は助言指導及び保健指導を実施。

・交渉継続

7.教職員の異常な長時間・過密労働の解消(学校)

・機会をとらえて、各学校長、市町村教育委員会に対して指導している。府立学校における1月当たりの時間外在校等時間が80時間を超える者にヒアリング等を実施、業務内容等を把握、必要に応じ、業務処理方法の改善に関する指導若しくは助言を行っている。

・グループウエアを活用した校務運営の効率化の取組み、週1回以上の全校一斉定時退庁日を開始し、令和5年9月からデジタル採点の取組みを開始。

・ICTを活用した校務運営効率化、多様な人材配置等に取り組み、教員の負担軽減とワークライフバランスを実現させる。

・部活動の指導運営体制の構築について府の支援の在り方を含めて明示。部活動指導員について令和6年度は府立学校49校60部に配置、府内25市町、277名に補助を行う予定。「部活動大阪モデル」の推進を82校41ペアで開始し、令和6年5月15日現在、専門性がない顧問が指導する部活動32校77部に部活動指導員を配置。

・欠員の解消に向けては、新たにペーパーティーチャー研修を実施するなど、人材の確保に努めるとともに代替教員の前倒し任用を拡充するなど、取組みを進めている。知事部局で実施しているウェルカムバック採用については早期に具体化できるよう検討。

・教育職員への一年単位の変形労働時間制の導入については、ニーズ等を見極め必要に応じ対応を検討する。

・交渉継続

8.休暇等の制度拡充

・非常勤職員の病気休暇、生理休暇、子の看護休暇、短期介護休暇等について常勤と同様に有給とすることは困難。

・産育休代替措置は、臨時的任用職員又は非常勤職員での対応を基本、一定の要件を満たす場合は常勤職員を配置。介護休暇代替措置は、臨時的任用職員又は非常勤職員による代替が基本、業務実態に応じて判断。育児短時間勤務代替措置は、非常勤職員による代替が基本。育児部分休業や子育て部分休暇に対する代替措置は、所属長等のマネジメントによる対応を基本。病気休職等の代替措置は、非常勤職員を配置するなど必要に応じた措置。

・令和6年度より臨時的任用制度の一般行政職等へ拡充。年度途中に発生する欠員に対応するため前倒し採用を実施。退職した職員の再採用について採用選考を実施。学校においても退職した教職員の再採用について引き続き検討。

・市町村の任期付講師が妊娠した場合の体育実技等軽減は要求に答えることは困難。

・子の看護休暇の範囲及び対象年齢については、育児・介護休業法の改正を踏まえ、国家公務員の対応を注視。

・不登校や障がいのある子を養育する職員が取得できる休暇制度は要求に応えることは困難。疾病により自力で食事が困難等、日常生活を営むのに必要な動作ができない場合は、短期介護休暇や介護休暇等の対象とすることが可能。

病気休暇の取得は診断書の添付を必要としているが、入院の場合は「入院診療計画書」、通院の場合は通院した日に限り、年5日を限度として、診察時の領収書等により認める。取扱いの詳細はあらためて示す。

・生理休暇は、制度の趣旨を各種規定・手引き集に掲載するなど周知をしている。取得しやすい環境作りに努める。

・病気休暇の要件緩和は受諾、引き続き、要件緩和を求める

・その他は交渉継続

9.職場環境改善、労働安全衛生対策

・労働安全衛生対策は運営の充実に努めている。

・大手前庁舎(本館、別館、分館6号館)・咲洲庁舎の洋式トイレは男性女性とも一定数を確保できていると考えているが、トイレの改修工事を行う場合は、必要に応じて洋式トイレへの変更も検討。

・府立学校のトイレの洋式化は、職場環境の改善を図るためにも取り組みを進めていくことが必要と考えている。

知事部局における予防接種の助成は「定期の予防接種」等のワクチンを助成対象とし、その回数を最大年3回まで拡大するよう地方職員共済組合において検討。

・ハラスメントの防止は、職員の意識啓発、相談体制の整備、研修の3点から取組みを進めている。効果的に周知する方策について検討し、快適な働きやすい職場環境づくりに努める。

 

・予防接種助成拡充は受諾

・交渉継続

10.咲洲庁舎撤退、安全で快適な職場

・今後とも府庁舎が安全で快適な職場となるよう努める。職場環境の改善について引き続き努力する。

・府立学校の老朽化対策については計画的な改修等に順次着手。

・交渉継続

11.福利厚生の拡充

・福利厚生事業の拡充は、地方公務員法等の趣旨を踏まえ、共済組合や互助会等と役割分担を図りながら対応。

・交渉継続

 

 

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