府労組連(府職労・大教組) 団体交渉を実施、職場実態にもとづき追及

全ての職員・教職員の賃上げ、オンコール手当、欠員補充、子の看護休暇等の拡充、トイレ洋式化など、職場からの切実な声をもとに要求実現を迫る

 6月11日、府労組連(大教組・府職労)は、5月27日に知事あてに提出した「2024年府労組連夏季要求書」にもとづき、団体交渉を行いました。交渉では企画厚生課長より回答が示されました。回答は私たちの切実な要求にはいっさい応えないものであったため、交渉では職場の声にもとづいて追及し、回答の再検討を求めました。交渉には各職場を代表して24人が参加しました。今回の交渉を経て、引き続き事務折衝を重ね、6月20日には職員長との団体交渉を行います。

職員・教職員の切実な声

代替職員の配置で欠員補充を(大障教)

支援学校では児童生徒数が年々増加している。児童生徒の安全を守るにも人手が足りず、子どもが学校にいる間はトイレに行く余裕もない、生理ナプキンを替えに行くことができない、生理休暇を取りたくても、周りに迷惑をかけるから薬を飲んで出勤するという人が多い。さらに病休や産育休の代替講師が配置されず、どの学校でも教員は疲れ切っている。
 妊娠中の児童生徒介助等職務軽減講師についても、見つからない、見つかるまでに時間がかかるという学校が多く、流産や妊娠異常が多数報告されている。「妊娠を管理職に報告していたにもかかわらず負担の大きな役割を担わされた」「産前休暇に入った後にお腹の中で赤ちゃんが動かなくなってしまった」というケースもあった。
 前倒し任用の幼稚部高等部への適用、育休代替講師の年度末までの雇用、定数外講師の加配などの実施を求める。

職員の使命感頼りの「待機」強要はやめて

子ども家庭センターでは夜間・休日の児童虐待対応はじめ、さまざまな対応がある。二次対応者は、連絡が入れば相談歴の確認、所管センターの所長等に連絡し対応の調整・報告、必要時には出動班に対応の指示。平日は中央子ども家庭センターの主担が遅出で対応し、それ以降は副担が待機する。土日は各子ども家庭センターから主担・副担を配置。中央子ども家庭センターの次長、課長は朝に二次対応が終わっても、その後は所管センターの次長、課長として二次対応者から連絡対応を受けられるようにしている。いつ、休めというのか?
 夜間の一時保護件数は昨年度842件。子ども家庭センターの人員は国基準に対し240人不足している。恒常的残業を放置し、夜間まで待機させ働かせるなんて、私たちを何だと思っているのか?直ちに恒常的残業をなくし、夜間の体制を整え待機をなくすか、せめてオンコール手当を支給せよ。

授業の「穴あき」を直ちに解消せよ(大教組)

「技術科や家庭科で一学期間授業が行われない」「いつまでたっても担任の先生が決まらない」「福祉科の教員が4月に異動になったが補充の教員配置がなされなかった」などの子どもの学習権を侵害する異常な事態が発生している。
 こうした「穴あき」を放置しているため、周りの教職員が代わりに自分の持ち授業時数に加えて授業をしなければならず、長時間労働が助長され、ドミノ倒しのように人が倒れていく職場になっている。子どもたちが「教職員に相手をしてもらえない」「自分のことを見てもらえない」と、どんどん荒れていくなど、問題行動が頻繁に起きるようになっている。教員の採用を増やし「穴あき」の解消を行え。

トイレ洋式化、残業時の空調運転を(本庁職員)

 時間外勤務時の労働条件が労働基準法による労働環境の遵守をしていない。昨年夏の残業時に計測したところ室温30度から32度、湿度54から69%が記録されている。こんな状況で職員を働かせて知らん顔はあり得ない。どんな環境で職員を働かせてるか把握するのは当局の責務。
 本館、別館ともに一部のトイレは洋式化されているが、まだまだ和式トイレが多い状況。本館6階の薬務課の横の女子トイレは4室中3室が和式です。早急な洋式化を求める。

安心して教育できる施設整備を(府高教)

教育センター付属高校の水道や受水槽の配管はひどく錆びていて、水道から茶色い水が出ている。家庭科室の蛇口につけたフィルターも茶色く変色し、授業にも影響が出ている。家庭科の授業では、わざわざ水を買ってきて調理実習をしている。年一回、水質検査があり、残留塩素の検査は飲料水に適するとの結果だが、赤サビはありますと指摘されている。
 茶色い水が出ているという事例は他の学校もある。校舎の雨漏り、しみ、ひび割れも多くの学校である。「チャイムが壊れて鳴らなくなった」という学校もある。私学などとは比較にならない。最低限の施設の状況を整えるよう求める。

不登校の子どもに対応する休暇制度を(健康医療・保健所支部)

子どもが小学4年生の終わりから学校にいけなくなりました。コロナ対応で多忙な時期はとっくに過ぎましたが、振り返れば親である私たちの異常な長時間労働や休日出勤、精神的なしんどさが子どもにも影響している。自分の子どもが「死んでもいいと思っていた」と追いつめられるまで気付けなかったことを考えると、親である私たち職員の働き方の問題とも言える。
 退職も考えたが、今後の生活や子どもたちの可能性を狭めることを考えると決断ができなかった。不登校児はただ学校にいってないだけでなく、心が深く傷ついた子どもたち。子どもに合った学校以外の居場所を見つけるには親の財力と時間が必要であり、子どものタイミングで動くことも必要。
 現行の子育ての休暇制度では対応できないイレギュラーな子育てがたくさんある。現行制度をフル活用するにしても人も足りない。子の看護休暇の拡充や不登校児、傷ついた子どもの心をケアできる休暇制度、当たり前に制度利用ができる人員体制になることを求める。

職場の切実な声を背景に追及、引き続き職員長・教職員室長との交渉を求める

交渉での主なやり取りは以下のとおりです

□府労組連:労使慣行、労使間の確認事項を遵守し、労働条件等の変更にあたっては、合意を前提に十分な協議を行うよう求める。
■企画厚生課長:府労組連との良き労使関係については、これまでの経過を尊重し双方の努力により築いていく。職員の給与・勤務条件に関わる諸問題については、所要の協議を行う。

中堅・ベテラン職員の賃上げを

□府労組連:昨年は公民較差が4千円以上であったにもかかわらず、30歳代後半以降は500円となった。人事委員会に対し、大阪府として初任給の引上げや部長級の給料引上げを要請して異例の勧告も行われた。なぜ、中堅・ベテラン職員の賃上げを要請しないのか?
□府労組連:万博パビリオンのスタッフを時給2000円で募集している。大阪府の非常勤の単価も引上げるべき。とくに専門職の単価は引上げられていないので、周辺の自治体よりも安く、人が確保できない。引上げを強く求める。
■企画厚生課長:人事委員会勧告は労働基本権制約の代償措置、尊重することが基本。主張の点については人事委員会とも共有する。

非常勤講師に期末・勤勉手当を支給せよ

□府労組連:学校の非常勤講師の期末・勤勉手当について9割が支給されていない。総務省マニュアルには「他の会計年度任用職員との権衡に留意」と書かれている。9割以上が対象外となっていて権衡に留意していると言えるのか?
■教職員企画課長:期末手当が1割弱にしか支給されていないことについては、このままでいいとは思っていない。国や他府県の状況を見て研究はしていきたい。
□府労組連:文科省の学習指導要領を基準に年間35週分割り振って、総務省マニュアルを基準に52週で割り戻しているから矛盾が生じている。非常勤講師は権利の面で立ち遅れている。非常勤講師は、職場でも弱い立場にあり、声を上げにくい。無償労働を前提としている制度とその運用は変えるべきだ。
□府労組連:通勤手当の認定基準の緩和については、この間の私たちの要求に応え、学校は全職員対象で実施されているが、知事部局は「就学前の子どものいる職員」に限定している。知事部局でも全職員を対象とするように強く求める。

「待機」の仕事にオンコール手当を

□府労組連:夜間・休日の公用携帯電話による持ち帰り対応、自宅待機(呼び出し)業務の実態はこれまで何度も伝えている。何らかの手当等の措置、必要性は感じているのか?
■企画厚生課長:オンコール手当新設は、国・他府県の状況から困難。これらの対応により、質の高い行政サービスが維持されていることに感謝している。実際に勤務した場合は、時間外手当を支給する。待機についての手当は現状では困難。
□府労組連:「感謝」だけで済む問題ではない。待機時間も職員は行動を制約されている。その事実を知りながら「国や他府県にないから支給できない」と言う答えは無責任すぎるではないか。府民の命や健康を守る仕事を職員の使命感に頼るのはおかしい。オンコール手当を支給する、あるいは人を増やして待機も勤務時間とできる体制にすべきだ。

評価制度「職員アンケート」を実施

□府労組連:評価制度に対する考え方については、これまで繰り返し伝えているが、最近では評価制度を持ち出して、時間外勤務を申請しづらくさせたり、ハラスメントにつながる言動があるという話も聞いている。もはや百害あって一利なしの制度と言わざるを得ない。引き続き、相対評価の廃止を求める。職員アンケートを含む検証は行う予定なのか?
■人事課長:現在の評価制度が制度の目的に合致しているかを検証するため、職員アンケートを実施する。
□府労組連:学校の評価育成システムについては、昨年秋の交渉で「教職員アンケートの実施を検討する」と回答があったが、その後の状況はどうなっているか?
■教職員企画課長:実施に向けて検討している。教職員に負担のかからないようにしていきたい。
□府労組連:時間外勤務縮減に向けて、さまざまな取り組み努力をしているが、一向に解決していない。努力がムダとは言わないが、根本原因が解決されていないことが問題である。人が足りないという状況を直視し、必要な人の配置をあらためて強く求める。

仕事に関するLINE等の連絡は本来、勤務時間内にすべきと確認

□府労組連:最近、職場のLINEグループやメールなどを通じて、勤務時間外に業務の指示をしたり、仕事の打ち合わせをしているような実態を聞いているが、このことに対する認識を聞きたい。
■企画厚生課長:業務に関する指示等は、本来、勤務時間内にすべき。実際に時間外勤務を行った場合は時間外勤務手当を支給すべき。
□府労組連:勤務時間と勤務時間外は明確に切り離されるべきであり、上司から部下への連絡は精神的な負担も与える。業務に関する連絡等を勤務時間外にしないよう周知・徹底すべき。また、時間外勤務縮減が強調され、時間外勤務が申請しづらいという状況も生まれている。時間外勤務縮減と合わせて、不払い・サービス残業をしないよう周知することを求める。

前倒し任用拡大等で欠員の補充を

□府労組連:学校の「穴あき」の状況をどのような認識を持っているのか?
■教職員人事課長:欠員が生じていることにより現場の教員に負担をかけ、子どもたちへの学習に影響をおよぼしていることは申し訳ないと思っている。欠員対策はしっかり取り組んでいく。ペーパーティーチャーの掘り起こしなども行っている。
□府労組連:「前倒し任用」の拡大を強く求める。知事部局で実施しているウエルカムバッグ採用の教職員への適用も早急に実施すべきではないか。
■教職員人事課長:定数の範囲内は基本的に正規が担うもの。講師率が高くなっているとの認識はある。採用については年齢構成等、考えて採用していかないといけない。ウエルカムバッグ採用の教職員への適用は考えていかなければならないと思っている。人材の確保に向けて努めていきたい。
□府労組連:欠員補充については、要件によって補充されないケースも多い。保健師やケースワーカーなどの専門職については、産育休等の代替職員を正規職員で補充するというルールもあるが、これも守られてない。どのような理由で休むにせよ、職場で人が欠けるという事実は同じ。欠員はすべて正規職員で埋めるという原則にせよ。
■人事課長:欠員の理由によって正規代替、臨任や非常勤対応、所属長マネジメント等で対応している。前倒し採用や臨任の行政職等への拡充も行っている。
□府労組連:部分休暇の取得が増えている。女性職員も若い職員も増え、昔とは状況が違う。最低でも非常勤職員の配置の予算をつけるべきではないか。部分休暇は無給、給料を減額しておきながら、業務量を軽減しないのはおかしい。非常勤予算も確保できるはずだ。
□府労組連:子の看護休暇、国制度を基本と回答しているが、他府県では日数や要件、年齢等を拡大しているところも多くある。なぜ、大阪府はできないのか?
■企画厚生課長:休暇制度については国の制度を基本にしている。子の看護休暇の取得要件拡大については、現在国において制度改正が検討されているが、現時点においては要求に応えることは困難。
□府労組連:子育て中の職員が働き続ける環境をつくることが人材育成にとっても重要である。国制度準拠ではなく、大阪府として考えるべき。また、不登校の子どもや障がいのある子どもがいる場合の休暇制度について、介護休暇や短期介護休暇の要件として明確に位置付けてもらいたい。回答では「疾病により自力で食事が困難である等、日常生活を営むのに必要な動作ができない場合には、短期介護休暇や介護休暇等の対象とすることが可能」となっているが、不登校や障がいは病気ではなく、診断がつかない場合もあるので取得できないことが多い。安心して取得できるよう要件に明記するなどの配慮を求める。

病気休暇「診断書必須要件」を見直せ

□府労組連:「休暇制度は国に準じる」と言いながら、なぜ病気休暇の運用だけが大阪府独自なのか。国だけでなく、診断書の提出を義務付けている他府県はない。ダブルスタンダードと言わざるを得ない。
■企画厚生課長:取り扱いが国と違うことは理解している。適切な健康管理と服務規律の確保の点から実施している。
□府労組連:「風邪をひいた」とか「熱があるから病院へ行く」ということにまで診断書を出させることが、職員の健康管理につながると本気で考えているのか。また、大阪府職員は国や他府県よりも詐病を企てる職員が多いと考えているのか。
■企画厚生課長:決してそうは思っていない。
□府労組連:それならば国や他府県と同様の取扱いにすべきだ。
□府労組連:トイレの洋式化は多くの職員の切実な願いである。先日行った別館職員対象のアンケートは1日で約500人が回答し、洋式を利用したいが約9割。約4割の職員が洋式を使うために毎日他のフロアを利用すると答えている。妊娠している職員は洋式しか使えない、生理中の職員は和式を使って衣服が汚れたという話も寄せられている。安全衛生、健康管理の観点からも洋式化を進めるべきではないのか。
■企画厚生課長:この間、一定数の洋式トイレを確保している。今後も改修工事を行う場合は、必要に応じて洋式への変更も検討する。アンケート結果等を含め、要求については主管課とも内容を共有する。
□府労組連:冷暖房については室温に応じて運転すべき。
■企画厚生課長:残業時間帯の空調については、運転開始の1時間前と運転終了の30分後まで職員の交代勤務により直営で対応している。
□府労組連:残業時間についても高温多湿の状況で働かせるのは健康管理上も大きな問題である。職員の負担もあると思うが時間外も一定運転するよう強く求める。学校施設の問題については、安心して教育ができる環境を早急に整えるよう引き続き追及する。

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