府労組連団体交渉を実施、職場実態にもとづき徹底追及 500円の賃上げではモチベーションは維持できない 異常な時間外勤務の解消、増え続ける欠員の補充を直ちに行え

 10月31日、府労組連(大教組・府職労)は、10月18日に知事あてに提出した「2023年府労組連秋季要求書」にもとづき、団体交渉を行いました。交渉では企画厚生課長より回答が示されましたが、切実な要求にはいっさい応えておらず、職場の声にもとづいて追及し、再検討を求めました。交渉には各職場を代表して26人が参加しました。

【交渉での主な追及点】

 交渉での主な追及点は次のとおりです。回答の要旨と職場からの発言は裏面に掲載しています。

中堅・ベテラン職員の奮闘に応えよ

 府人勧どおり賃上げを実施するのは当然のことであるが、今回の府人勧では、中堅・ベテラン職員の引上げ額は一律500円となっており、職員からは不満や怒りの声が出ている。職員の生活改善、モチベーションの維持・向上のためにも上積みを検討せよ。
 私たちの労働基本権を制約している以上、どんな理由があろうが人勧実施は最低限の責務である。直ちに実施を回答し、上積みを検討するよう求める。

非常勤職員の差別的な取り扱いはやめろ

 非常勤職員の単価についても府人勧に準じた引上げを行い、常勤職員と同様に遡って改定するよう求める。また、非常勤職員の退職手当、地域手当、扶養手当、住居手当、特殊勤務手当等の諸手当の支給の検討も求める。
 非常勤講師の報酬を月単価に戻すのが難しいのであれば、せめて1コマ当たりの単価を相当に引き上げるか、割り振りできる時間を増やすように求める。授業1時間につき1時間程度の準備がいることは、府教委が実施したアンケート結果でも明らかである。
 また、一時金(ボーナス)については勤勉手当相当も支給するよう求める。非常勤講師は「勤務時間が週15時間30分未満」という壁が高すぎるため、支給対象者が1割に満たない。「総務省マニュアル」に捉われず、実態に合わせて支給できるよう努力せよ。

相対評価 下位評価の分布割合をなくせ

 「組織・人事給与制度の今後の方向性(素案)」では、下位区分を5%にするとしているが、そもそも下位評価に分布割合を設けていることが問題であることは、当局が実施した検証結果でも明らかである。せめて下位評価の分布割合をなくすことを強く求める。

前倒し任用拡大で教職員の「穴あき」解消を

 前年度末は小中学校だけで278人の「穴あき」があり、今年度は9月時点で194人の「穴あき」となっている。それによって教職員の業務量が増大し、子どもの学習権も脅かされている。「穴あき」解消のためにあらゆる手立てをとるよう求める。
 前倒し任用の拡大は、国の施策待ちではなく、全校種、全職種、全期間で適用できるよう検討を求める。

全ての欠員を直ちに補充する体制を

 この間の職員削減で最低限の職員配置しかなく、若い職員も増え、年度途中退職も増加している。今年度も4月以降、主事・主査級で66人が退職している。加えて、病気休職者も増加し、欠員状態となっている職場が多数ある。欠員補充がなく、まわりの職員が過重労働になり、倒れていくという悪循環が続いている。所属でのマネジメントも限界に達している。すべての欠員を補充する体制が急務である。直ちに検討せよ。

通勤手当の実費支給
オンコール手当支給を

 課長回答では「子育て中の職員等の負担軽減を図るため、通勤手当の認定基準の緩和について検討」とのことだが、通勤の負担は子育て世代に限った問題ではない。そもそも通勤手当は交通費であり、基本的には実費弁償されるべきもの。子育てしている、していないにかかわらず、働き方改革の観点からも職員の利便性最優先にした認定基準の緩和を求める。
 夜間・休日の公用携帯電話による持ち帰り対応、自宅待機(呼び出し)業務に対応する職員に対し、オンコール手当を支給するべき。職員に携帯電話を持ち帰らせたり、あるいは個人携帯への連絡も含めて待機させることは、本来は業務として取り扱ってもいい問題でもある。

子の看護休暇の拡充、家族休暇、リフレッシュ休暇の復活を

 この他にも、管外出張等に伴う宿泊費(現行8700円、7600円)の引上げ、非常勤職員の病気休暇や特別休暇(生理休暇、子の看護休暇、短期介護休暇等)の有給化、子の看護休暇の拡充、家族休暇、リフレッシュ休暇の復活などについても求めました。

労働組合に加入し賃上げと労働条件の改善を実現しよう

 交渉の最後に北川委員長は「課長回答は全く納得できない。職場代表の切実な実態、職員・教職員の思いを重く受け止め、前進回答をめざして、人事局長との交渉を求める」と述べました。
 府労組連は、引き続き、事務折衝、団体交渉を重ね、大幅賃上げなど要求実現をめざします。交渉で勝ち取った成果は、全ての職員・教職員に反映されます。だからこそ、要求実現をめざして、みんなで力を合わせることが必要です。労働組合に加入していない人は、この機会に加入してください。

2023年府労組連秋季要求課長回答(要旨)

要求項目

回答要旨

1.労使慣行遵守

・経過を尊重し、双方の努力により築く。給与・勤務条件は所要の協議。

2.職員・教職員の賃金・諸手当改善、非常勤職員の賃金・待遇改善、再任用職員の賃金・待遇改善

・月例給については、国の取扱いや本府の財政状況等を踏まえ検討しており、結論に至らず。

・非常勤職員の勤勉手当については、他府県の動向等を踏まえつつ、検討している。

・通勤手当については、働きやすい職場づくりの観点から、子育て中の職員等の負担軽減を図るため、認定基準の緩和について検討している。

・宿泊料については、宿泊実態等について、調査する。

3.一時金の引上げ

・期末勤勉手当について、現行条例に基づき12月8日に支給する。

4.相対評価の中止、「評価・育成システム」は廃止・撤回

・人事評価の目的は、「職員の資質・能力及び執務意欲の向上」であり、令和6年度より、見直しを検討している。

・「評価・育成システム」は、今後も必要に応じて改善に取り組む。

5.府職員・教職員の定数増

・知事部局については、必要に応じた人員配置に努め、適正な勤務労働条件の確保等に取り組む。

・教職員定数について、文部科学省では、令和6年度概算要求において、新しい時代の学びの環境の整備に向けて、小学校高学年における教科担任制の強化と35人学級の計画的整備等を図るための予算が計上。引き続き、国へ定数改善を働きかける。

6.異常な時間外勤務の解消、労働時間短縮

・時間外勤務等の適正化、年次休暇の使用促進については、「ゆとりの日及び週間」の実施や、「ゆとり推進月間」における様々な取り組み等を通じて、その実効性の確保に努めている。

・過重労働対策については、時間外労働が月100時間以上の場合若しくは2ヵ月から6ヶ月平均で80時間を超える場合には、助言指導及び保健指導を実施している。

・在宅勤務や時差勤務は、十分に協議しながら進め、フレックスタイムについては、公務の運営に支障がないと認める場合に、職員の申告を経て勤務時間を割振ることができるという制度趣旨を徹底する。

7.教職員の異常な長時間・過密労働の解消

・各学校長、市町村教育委員会に対して指導しているところであり、勤務時間管理については、各学校長により適切に行われるものと認識。

・令和5年4月から、グループウエアを活用した校務運営の効率化の取組み及び週1回以上の全校一斉定時退庁日を開始し、令和5年9月からデジタル採点の取組みを開始したところ。

・今年度の夏季休業期間に、府立学校及び教員を対象に働き方改革の取組状況や基本的な業務量を把握するためのアンケート調査を実施し、その結果を公表したところ。

8.休暇等の制度拡充

・子育て部分休暇の対象となる子の年齢引上げについては、他府県の状況等を踏まえ検討している。

・代替措置については、職員が安心して休暇を取得できるよう、臨時的任用職員制度の一般行政職等への拡充について検討している。

・知事部局における再採用については、育児、介護、転職等により退職した職員の再採用の実施を検討している。学校においては、他制度を取り巻く状況や人材確保の必要性などを見極めつつ、対象の拡大について、検討している。

9.職場環境改善、労働安全衛生対策

・労働安全衛生対策は、その運営の充実に努めている。

・快適な働きやすい職場環境づくりに努める。

【職場代表の発言】

20代30代の教職員が毎年のように退職

 全日制高校勤務の知人は、始業前7時半に学校へ行き、残った仕事をして、授業や生徒指導、放課後は保護者への連絡をし、加えて部活動や欠席連絡、職場の会議、その後ようやく授業準備にとりかかっている。授業準備をしようと思ったら19時、20時というのが日常となっている。「定年まで心身がもたない」「授業準備が十分にできず、生徒に申し訳ない」と話している。
20代30代の教職員は毎年のように退職していく。生徒の見方やかかわり方が素晴らしい先生でしたが、働く中で自信をなくしていき、退職しました。また、生徒に丁寧にかかわっていた講師は、採用3年、4年で十分実力もありましたが、もう講師では生活できないと他職に就いた。辞めざるを得ない府立学校の多忙化の解消を求める。
 学校現場では、ベテランと若手の2極化が進んでいる。ベテランは今の働き方に嫌気がさして早期退職し、若手は授業のことや生徒のことを相談できなくなっている。
育児・介護をしている教職員からのハラスメント等の相談も非常に多い。職場にゆとりがない、持続不可能な学校現場をいつまで放置するのか。正規教職員の増員を求めたい。
 同僚と話していると、「毎月、約3万円の奨学金の返済が苦しい」「一人で子育てしており生活が大変」などの声が多数あります。組合の職場要求アンケートでは「負担に感じること」が、交通費や食費、教育費引き上げは当然だが、30代後半以降は500円というのは納得できない。さらなる引き上げを求める。(大教組/府高教)

日に日に空白の配席表が増えていく職場

 職場では「ベテラン職員が大事と言いつつ、給料を上げないのはおかしい」とか「35歳は子育てなどで一番お金がかかるのに、この物価高で500円しか上げないなんて職員の生活をどう考えているのか」など、怒りの声が渦巻いている。500円引上げは、職場の中心で懸命に奮闘している中堅職員、ベテラン職員の努力を無視するもの。一部の職員だけではなく、全ての職員が希望を持てるものでなければ、職員のやる気は引き出せない。人材確保や人材育成にもつながらない。全ての職員の大幅な賃上げを求める。
 また、定年延長が今年度末から始まるが、再任用職員の給与は定年延長職員と比べて大幅に低く、ボーナスの月数も低く抑えられ、いわば二重の差別を受けている。再任用職員の待遇改善も強く求める。
 私の職場では7月に2人の職員が退職した。加えて、病気休職者も続出している。残った職員は辞めた職員の穴を埋め、事業を進めるために懸命に働いている。その結果、長時間・過密労働となり、疲れて一人また一人と倒れていく。所属長マネジメントも限界だ。
日本一スリムな自治体を目標に職員数を減らすという政策によって、無計画な採用抑制が行われた結果、異常な年齢構造をつくり出している。一挙に増えた若手職員の仕事の指導に手が回らず、若手・新採職員は余裕がない中、分担された仕事の期限に追われ疲弊していく。
辞めた職員は「初めて配属された職場でマニュアルを渡されて『わからなければコールセンターに聞け』と言われたうえ、前年度の新採であるジョブトレーナーには『こんなもんですよ』と言われ、府民と自分のために働く仕事が見えなかった」と言って退職した。
スローガンだけのワーク・ライフ・バランス、取りたくても取得できない子育て支援制度、日に日に空白の配席表が増えていく職場、これが全国一スリムで、「働き方改革」に取り組む私たち大阪府の職場実態だ。
 昨年度月80時間超の時間外勤務をした職員は410人もいる。職員数の大幅な増は待ったなしである。(府職労/総務農林支部)

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