10月11日、大阪府人事委員会は知事と議会に対し「職員の給与等に関する報告及び勧告」を行いました。その内容は、今年4月時点の比較で、月例給、一時金(ボーナス)ともに民間給与を下回っているため、昨年に引き続き、引上げを勧告しています。府労組連(府職労・大教組)は、この勧告にもとづき、10月18日に知事あて要求書を提出し、全ての職員・教職員の賃上げと働きやすい職場をめざして交渉を行います。
初任給重視の賃上げでは生活改善につながらない
今回の勧告も月例給、一時金(ボーナス)ともに引上げる内容となっていますが、引上げ額は非常に少なく、昨今の物価上昇からみても生活改善にはつながりません。
しかも、初任給と若年層(20歳台半ば~30歳台前半)を重視し、職場で中心的な役割を担っている中堅・ベテラン職員の引上げ額は極めて少なく、モチベーションの向上どころか低下させるものと言わざるを得ません。
今後の交渉では、全ての職員・教職員の大幅な賃上げを求めます。
非常勤職員に「勤勉手当」支給など、適正な処遇の確保を
府人事委員会の「意見」では「非常勤職員については、有効求人倍率が上昇し人材獲得競争が厳しさを増す中で、安定的に人材を確保するため、適正な処遇を図ることが求められている」と指摘し、非常勤職員の報酬改定時期については、常勤職員と同様に4月に遡及して増額改定することや勤勉手当を支給することなど、適正な処遇の確保を求めています。
長時間勤務の是正と働きやすい職場環境が必要
職員の人材育成については「長期的視野をもって体系的・計画的に取り組んで行かなければならない」とし、「長時間労働の是正や仕事と家庭の両立支援制度を利用しやすくするなど、ワーク・ライフ・バランスのとれた働きやすい職場環境づくりを進める必要がある」と指摘しています。
さらに、昨年度の時間外勤務の状況について、「年間360時間(上限規制対象外業務を除く)を超える職員が761人と約2割増加、月80時間を超える職員は延べ410人、年間時間外在校等時間が360時間を超える府立学校教育職員が5614人で全体の4割弱」という実態を明らかにしています。
そのうえで、長時間労働が改善されていないことを指摘し、「恒常的に上限時間を超えるような場合は、人員配置の見直しも視野に入れるべき」と述べています。
また、学校現場については、より働きやすい職場環境となるよう、さらなる対策を講じ、長時間労働の是正に取り組むよう求めています。
相対評価は今すぐ中止すべき
相対評価制度については「相対評価を前提にするとしても、下位評価区分の分布割合を固定化した現状の制度を見直すこと、あるいは下位評価区分の分布割合の運用の柔軟化について早急に検討すべきである」と、これまでの考え方を述べ、執務意欲の向上という人事評価制度の意義に沿った抜本的な見直しを求めています。
休暇拡充、メンタルヘルス対策で働きやすい職場を
休暇制度の拡充については「育児・介護をはじめとした職員のライフスタイルに対応できる休暇等の拡充について、国や他の地方公共団体との均衡を踏まえつつ具体化に向けて検討していく必要がある」と述べています。
メンタルヘルス対策については、メンタルヘルス疾患を要因とする休業者数が増加傾向にあり、20代までの若手職員の割合が増えていることを指摘し、「『こころの健康づくりプログラム』に基づくメンタルヘルス対策を推進するとともに、一定の期間を定め、その対策の効果指標や目標値を設定し、PDCAサイクルによる定期的な見直しを行うことが必要」としています。
ハラスメントのない職場環境づくりについては「より一層相談しやすい体制」「職員が無意識のうちにハラスメントの加害者にならないよう啓発を続けること」など、「ハラスメントを生じさせない働きやすい職場環境づくりに向けて、さらなる取組みが必要である」しています。
全ての職員・教職員の賃上げのために
府労組連は、勧告を受けて、10月12日には「拡大中央委員会」を開催し、秋季要求書を決定、18日に知事あて要求書を提出し、その後、団体交渉を配置し、全ての職員・教職員の賃上げと働きやすい職場をめざします。
府職労に加入し賃上げと職場環境改善を実現しよう
要求実現には労働組合の力が不可欠です。その力を大きくするためにも、一人でも多くの職員・教職員が労働組合に加入することが必要です。
そして、労働組合が交渉で勝ち得た賃金や労働条件は全ての職員に適用されます。労働組合に加入していない方は、ぜひ加入して力を貸してください。