2022・23年度の府職労本部役員は、初めて女性が半数を超え、子育て世代が中心のメンバー構成となりました。
参加者
山本 桃代 ●書記次長/はびきの医療センター/看護師
西田 結実子 ●執行委員/四條畷保健所/保健師
池田 史織 ●副委員長/国際がんセンター/看護師
香西 資子 ●副委員長/守口保健所/保健師
福田 佐代美 ●女性部長/西大阪治水事務所/行政職
福田 小百合 ●執行委員/東大阪子ども家庭センター/ケースワーカー
草野 さゆり ●執行委員/守口保健所/保健師
増井 和江 ●執行委員/はびきの医療センター/看護師
茂内 梨香子 ●書記/府職労書記局
聞き手
小松 康則 ●府職労委員長
いま、大阪府の職場では、仕事の多忙化や人不足による長時間過密労働が深刻になっていて、府職労の取り組みによってさまざまな制度を実現してきましたが、家庭や子育てとの両立に悩みを抱え、働き続けることができない職員も少なくありません。
府職労は、そんな悩みを共有・共感し、女性も男性もみんながいきいきと働き続けられる職場をめざしています。
新年を迎えるにあたり、本部役員となった9人の女性に話を聞きました。
小松 あけましておめでとうございます。まずは簡単に自己紹介をお願いします。
西田 四條畷保健所の母子・難病・地域ケアチームで働いています。在宅生活を過ごしやすくするために訪問したり、関係機関と調整したりしています。コロナ禍ではコロナ対応もしています。
草野 私も保健師で、守口保健所で働いています。西田さんと同じ母子・難病・地域ケアチームです。難病児者、身体障がい児の療養支援が中心です。特に医療的ケアが必要な方が退院してくる際の在宅療養体制を整える支援をしています。ケアマネジャー、訪問看護師、訪問診療医、ヘルパーさんと連携しながら、本人・家族の思いに添った生活をめざして支援しています。就学に際しての相談、就労支援や延命治療選択、看取り支援やグリーフケア(※1)など幅広い個別支援で出てきた課題解決に向け、地域のネットワークや体制整備をしていくことも重要な仕事です。
香西 私は守口保健所で保健師をしています。昨年から精神保健担当です。
福田 小百合 東大阪子ども家庭センターの相談対応課で働いています。インテーク(初期対応)で子育ての相談から児童虐待の通告対応をしています。
山本 大阪はびきの医療センターで看護師をしています。小児科病棟で三交代勤務をしています。小児科病棟といってもコロナ禍は、病棟閉鎖の関係もあり、生後数週間からターミナル(終末期)の患者さんまで対応しています。
増井 私も同じくはびきの医療センターの看護師です。HCU(※2)、耳鼻咽喉・頭頚部外科で働いています。
池田 私は大阪国際がんセンターで看護師をしています。病棟はICU(※3)です
福田 佐代美 西大阪治水事務所で、大阪市内の一級河川(大川、堂島川、土佐堀川など)の許認可業務や管理河川の苦情・要望対応、パトロール、除草作業などを行っています。
茂内 府職労書記局(組合事務所)で会計の仕事をしています。
オンライン会議は参加しやすくグループワークもあって楽しい
小松 保健所、病院や治水事務所など、最前線で住民の命や暮らしを守る仕事についているみなさんが本部役員にいることをとても心強く感じています。新体制が発足して2か月が経ちましたが、どうですか?
香西 会議などオンラインで参加できるので、とても参加しやすいです。ときどき夜の会議もありますが、子どものごはん支度をしながらでも参加できますし、土曜日の会議のときも、前後に洗濯したり、休憩したりできるので。執行委員会でのグループワークも楽しいですね。まだまだ知らないことが多いので、もっと他職場のことも知りたいです。
草野 私も楽しく参加しています。オンラインで参加ができるようになり、時間的に余裕のないときも参加しやすくなりました。他職場の人たちとの新たな出会いもあり、うれしく思っています。
福田 小百合 本当にオンラインはありがたいです。組合事務所に時間どおり行って会議に参加するというのは、子育て中の者にとっては少し負担があったので。子どもたちがカメラに映り込んでも、役員のみなさんがにこやかに受け止めてくれるので参加しやすいです。
池田 まだ少し緊張していますが、少しずつZoom会議にも慣れてきました。
増井 病院職場は勤務がシフト制なので、なかなか参加できなくて、迷惑をかけてばかりで申し訳ないなって思っています。いろいろ聞きながら少しずつ覚えていきたいと思っています。
山本 病院では勤務希望は前月の10日ぐらいに締め切られてしまいます。会議参加のための勤務希望はあらかじめ可能ですが、急な集まり等は対応が難しいですね。会議の回数は以前と比べて減りましたが、内容は充実しているので楽しいです。
茂内 私はこれまでも執行委員会などに参加していましたが「執行委員だからこうあるべき」という堅苦しいイメージもなく、会議でみなさんと何ができるかを話し合えるのが楽しいですね。
素直に自分の意見が話せて誰でも参加できる活動がしたい
小松 みなさんに「楽しい」と感じてもらえていることが何よりもうれしいですね。もちろん、難しい課題にも対応しないといけないこともありますが、わかりやすく話せるよう工夫したいですね。みなさん、わかりにくいときは遠慮なく教えてくださいね。今回、初めて女性が半数以上になりましたが、どう感じていますか。
西田 女性が多くなったというのもありますが、子育て世代の人が多くなったので、すごく意見が言いやすいと感じています。
福田 小百合 それはありますね。私も本部役員になったことで役割が増えるのかと不安でしたが、会議で素直に自分の意見を出せることができるのがうれしいです。女性が妊娠、出産、子育てで仕事を休んだ後も復帰して長く働き続けられるように、自分の経験も踏まえて考えていけたらと思っています。男性よりも女性の方が子育てで離職する人も周りに増えていますし。
茂内 回を重ねるたびに、生理休暇のことや女性に関わる問題が話題になり、話しやすくなったなと感じます。子育て仲間も増えて素直にうれしいです。
池田 もともとの役員体制についてあまり知らないし、自分にとって遠い話だと思っていたので、変化があったという実感はありませんが、会議などで話しやすい雰囲気は感じています。
増井 私も今までとの違いはわかりませんが、女性は結婚したら家庭に入る時代から共働きの時代になりましたが、子育てはまだまだ女性が担うことが多く、子どもが病気になると休みをもらうために職場に負担をかけたり、気を遣うことも多いです。女性目線で意見が言えることで、女性が働きながら子育てできる職場をめざせるのではないかなと思います。
福田 佐代美 最近はマスコミなどでも女性問題やLGBTなどについて取り上げられている特集などを目にします。府職労では男性も含めてよい議論ができていると感じています。
香西 私は「誰でも参加できる活動に」という方針に賛同して、私も役員をさせていただきました。
山本 「誰でも参加できる」いいですね。いまの府職労の活動はそうなっていると思います。共有できることがたくさんあり、とても楽しいです。専門分野の人も多く集まり、課題は多岐にわたっても、根本はみんな一緒なので、もっとパワーをつけていけたらと思っています。堅苦しくなく気楽に参加できています。
仲間を増やし、つながり広げて女性の声を社会に反映させたい
小松 女性や子育て世代が多くなったことで、より意見が言いやすくなるんだと、私も実感しています。みなさんの意見から思いつくことや学べることたくさんあります。保健所や病院はもともと女性が多い職場ですが、最近はそれ以外の職場でも女性の比率が増えていますよね。今の大阪府は女性にとっては働きやすい職場になっているでしょうか。
茂内 女性部が取り組んだアンケートからは働きやすい職場とは言いがたいなと感じます。まず何よりも人を増やすことが必要だと思います。また、介護・子育てへの職場の理解や制度を利用しやすくするための啓発や話しやすい雰囲気づくりも同時に必要だと思います。
西田 私も余裕のある職員体制が必要と感じます。子育てや介護で突然休まないといけないとき、余裕がないと休みにくいですし、生理でしんどいときも休息がとれるようになってほしいです。
草野 保健所は女性が多いので女性が働きやすい職場だとは思いますが、子育てしている職員も多くて、チームの半数が部分休業で抜けてしまうと負担は大きくなります。部分休業を取る人が遠慮したり、申し訳ないと思ってストレスを感じているだろうとも思います。きちんと人をつけてほしいと思います。そもそも職員がギリギリで配置されていることの問題が大きいと思います。あわせて上司の理解も必要です。男性が育休を取ることの職場の理解も広まったらいいなと思います。
福田 小百合 福祉職の現場では緊急時に動くことも多く、家庭との調整も必要になります。夜勤、休日勤務等もあり、家族との時間を優先したいと考えている人も多いと思います。書類作成や起案等さまざまな文書作成も求められるので、その事務処理にも時間がかかり、どうしても時間外勤務になってしまいます。
池田 もともと病院は女性が多い職場なので、他と比較したことないので働きやすいかどうかを実感したことはないです。
山本 医療現場は圧倒的女性職場ですが、子育てや介護などを抱えながらみんな働いています。女性ばかりに負担がかかっていると感じることは多いですね。
増井 そうですよね。私の場合、日勤は8時開始なので、子どもが学校へ登校する前に出勤しないといけません。それに、定時に仕事が終わらないので、子どものお迎えに間に合わず、親にお願いすることが多いという声もよく聞きます。仕事優先にすると子どもとの関わりが薄れます。子どものことは祖母の方がよく知っているということもあって、これでいいのかといつも自問自答しています。
香西 職場に組合があるかないか(組合員が多いか少ないか)によっても、ずいぶん雰囲気が違うと思うので、組合員を増やすことも大事だと思います。人に余裕があって家族のことをちゃんと考えることができる雰囲気づくりをしたいですね。
小松 そうですよね。人が少なくて余裕がなくなると、当たり前の権利すら使えなくなりますよね。そういう意味でも労働組合の存在が大事だと思います。みなさん、これからどんな活動をしていきたいと思いますか。
西田 私は、職場の声を届けることが役割だと思っています。職場の人に組合活動を知ってもらい、身近に感じてもらうことが大事だと。一人では不安なのでたくさんの人とつながりがもてたらうれしいですね。
福田 小百合 そうですね。そういうつながりを広げて、勉強会や他職種・職場の現状もお互いに知って、現場の人の声を要求につなげ、少しでも多くの人が働き続けられるように頑張りたいです。
茂内 コロナ禍で職場での交流が少なくなっているし、問題ある働き方をしていても権利を知らないで泣き寝入りしている人や誰にも相談できず孤立している人もいると感じています。私も職場からの声を聞けるような交流会や一人ひとりが問題意識を持てるような啓発や学習会をしたいと思います。
香西 楽しい活動、楽しいと思える活動をしたいですね。みんなが参加したいと思えるような…。思ったことを当たり前に言っていいんだと思える雰囲気づくり、これが一番だと思います。
山本 そうですね。いろんな場面で組合員一人ひとりが参加し、お互いに元気がもらえる場を作りたいです。
福田 佐代美 これまで女性部がとりくんできたパンづくりやヨガ教室などを楽しみにしている組合員もいると思うので、家族で参加できるとりくみを年2回くらいやってみたいですね。コロナ禍でもできる、みんながホッコリするとりくみとか考えたいですね。
草野 女性の役員が増えて心強いと感じています。男性の子育てや介護への協力が増えたとはいえ、やはり「参加」であり、まず女性が担うのが当たり前の社会だと感じています。働く女性のしんどさを解決していくために、女性の声は大事だと思います。女性の意見を社会に反映していきたいと思います。府民も職員も健康に安定した生活が送れる社会になればいいなぁと思っています。そのために「おかしいのでは?」「これってどう考えたらいいの?」と思ったことをためらわずに声に出せる労働組合であればいいなと思います。
小松 みなさん、ありがとうございました。女性をはじめ、組合員一人ひとりのみなさんの声をしっかりと受け止め、これからもみなさんと一緒に力を合わせて頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。