11月15日、府職労病院労組は11月4日に提出した「府立病院労組2021年秋季年末要求書」にもとづき、団体交渉を行いました。各病院のリアルな実態にもとづき追及し、コロナ禍での職員の懸命の努力に応える回答を求めました。
黒字決算を職員に還元せよ
団体交渉の冒頭、府職労病院労組は「労働条件にかかわる問題は誠実に労使協議を行う」ことを確認しました。
コロナ禍の中、看護師をはじめ、職員は感染リスクも負いながら、必死に患者対応を行っていることを訴え、その奮闘に応える給料・一時金(ボーナス)の引上げを強く求めました。
とりわけ、地域手当については、大阪府職員より低い水準に据え置かれている問題も指摘し、最低でも府職員と同水準(11%→11・8%)に引上げるよう求めました。
また、一時金については、大阪府の人事委員会が引下げを勧告しているが、引下げることのないよう求めました。
病院機構当局は「給料は国立病院、諸手当は府職員に準じる」という労使ルールを述べつつも、経営状況を理由に現時点では回答できないとの考え方を示しました。
病院機構の「令和2年度の収支決算」では、コロナ補助金の影響もあり、52・7億円の黒字決算となっている事実も示し、「労使ルールにもとづく人件費の確保は大原則であり、経営状況は理由にならない」と厳しく追及しました。
また、定年延長制度については「国や府の状況を踏まえて検討する」との考え方が示されました。この間、病院職場では年度途中の退職や産育休等による欠員も多く発生している実態も踏まえ、60歳以上の職員を定数外とするなど、職員増や働きやすい(休みが取りやすい)職場につながる制度とするよう求めました。制度導入については、事前に十分協議することを約束しました。
非常勤職員にもボーナスを支給せよ
非常勤職員について国際がんセンターの外来看護師からは「常勤看護師15名に対し、非常勤と再雇用の看護師が18名。看護助手2名と事務補助2名も非常勤で働いている。非常勤は勤務時間が短いだけで常勤と全く同じ業務をしている。委員会活動も常勤と同じようにしているし、本来、常勤看護師が担うべきリーダー業務もやっている。非常勤看護師がいなければ外来業務は維持できない」と、現場のリアルな実態を訴え、給料の引上げ、経験加算(昇給)、一時金(ボーナス)支給、手当や休暇の均等待遇などを求めました。
しかし、病院機構当局は「常勤職員と非常勤職員は責任が違う」などと、現場実態を無視した発言をしたため、この間、病院機構当局が非常勤職員を増やし続けている実態を厳しく追及し、誠意ある回答を行うよう求めました。
時間外勤務の縮減、人員増を
この間のコロナ対応でも、看護師をはじめ、圧倒的な職員不足が明らかになりました。また、少数職種においては、職員が少ないため、休暇すら取れない実態もあります。職員を増やし、時間外勤務を減らし、休暇が取得できる環境整備を強く求めました。
ちゃんと休みが取得できる職場を
病棟看護師からは「子どもを産み、育休明けで時短勤務を取得しているにもかかわらず、残業が多く保育園の迎えに間に合わないと退職された人、育休を取らずに退職された人もいる。また一緒に働きたい、この病棟で働きたいという人が戻っていただいて働いているが、残業で帰れないという日が続き、このままでは退職されるのでないかと心配している。経験もあるし、意欲のある人が働き続けられないのは、病院にとっても大きな損失だ。働き続けられる病院にしてほしい」とリアルな実態を突き付けました。
また、少数職種で年休や夏期休暇が取得できず、長時間の残業を強いられている実態も示し、職員増を求めました。
これに対し、病院機構当局は「少数職種については病院からの要望も聞き、時間外勤務等の実態を把握し、対応を検討する」「看護師の欠員については、各センターの上半期の退職者3年間の平均分を4月に採用するバッファ採用し、定数以上を配置し、欠員が生じないように努力している」との返答がありました。少数職種の実態改善と看護師のバッファ採用の拡充をあらためて求めました。
希望どおりに休暇の取れる年休制度に
来年4月より、夏期休暇を廃止し、年次有給休暇を5日間増やす問題について、どのように年休取得率を高めるのか、職員の希望どおりの休暇取得や連休の確保をいかに保障するのか、具体的な方策を示すように求めました。
国際がんセンターでは、1月から9月までに義務化された5日の年休が取得できていない職員が、医師126名中87名、看護師533名中170名、コメディカルが177名中37名もいる実態を示し、これでは「年休5日義務化のために夏期休暇は廃止したと思われても仕方ないのではないか。『年休取得の促進』と言われても説得力がない」と追及しました。
これに対し、病院機構当局は「具体的な方策は検討したい。細部については府職労・病院労組と協議する」と約束しました。
府職労・病院労組は、職場の実態を踏まえ、希望どおりに休暇の取得できる職場をめざし、取り組みを強めます。
交渉では、すでに大阪府で制度化している不妊治療休暇や小学校3年生までの子育て部分休暇制度などの休暇制度を病院機構でも制度化するよう求めました。
最終回答に向けて努力を約束
交渉の最後に、府職労・病院労組の山本委員長は「病院は職員が支えている。『医療現場だから仕方がない』では済まされない。人間が人間を相手に仕事をしている。現場の思いに応えるようお願いする」と、誠意ある回答を求めました。これに対し、病院機構当局の田中次長兼総務マネージャーは「さまざまな現場の声を聞かせていただいた。府民の命と健康を守る大阪の医療を支えていけるのは、現場のみなさんのおかげである。感謝を申し上げる。できる限りの努力を行いたい」と述べました。
いっしょに声をあげよう 労働組合に加入しよう
府職労病院労組は、団体交渉を受けて、引き続き最終回答に向けて、職場からの声を集め、取り組みます。
病院の職場や労働条件は、黙っていて良くなることは絶対にありません。黙っていたらいつも経営が最優先され、職員のことは後回しになります。そうしないために、働き続けられる職場にするためにも、声をあげることが必要です。声をあげるために労働組合があります。労働組合に加入し、いっしょに声をあげましょう。