09年7月28日、橋下知事は、WTCの中井康之管財人のビル購入検討の要請や平松大阪市長のWTCへの移転要請を受け、9月府議会に府庁舎の移転条例案を再提出する意向を明らかにしました。
府庁舎のWTC移転については、2月府議会において移転条例案を反対65、賛成46の大差で否決されたものであり、半年もたたない間で、再提出の意向を明らかにしたことに対し、議会からも「前代未聞だ」「議会に否決された重みを認識しているのか」「他に(民間の)スポンサーがいる中で管財人が何故大阪府・市に要請するのか」との批判の声が出されたと報じられています。
府職労は、あらためて府庁舎のWTC移転に反対するとともに、条例案の再提出を行わないよう求めます。
職場環境の改善、住民自治と府民文化の拠点となる庁舎整備の実現
府庁舎のWTCへの移転については、府職労は09年2月12日に「声明」を発表し、①防災拠点として多くの問題点がある②コスト面でも必ずしも安くない③府民の利便性では最悪④職員の通勤時間や労働条件、職場環境にとってはマイナス⑤関西財界支援のベイエリア開発、破綻したムダな開発路線そのものなどの問題を指摘し、WTC移転に反対である旨を明らかに、シンポジウムの開催や府議会議員への要請行動を取り組んできました。
また、2月府議会での条例案が否決されたことを受け、①快適で働きやすい職場環境の確保など組合員の要求実現②便利で利用しやすくて福祉の充実など府民福祉の向上③政府・財界の地域支配の拠点ではなく、府民の自治と文化の育成の3項目を基本とした耐震補強案の具体化の早期提示と協議を府当局に求めてきました。
破綻した開発へ巨額の税金を投入するだけ
09年6月には、大阪府としての本館の耐震補強を軸にした庁舎整備構想案が明らかにされ、「9月府議会に関連予算案の提出を目指す」との報道もありました。
橋下知事は、条例案の否決直後の記者会見では「すぐに耐震補強を進めたい」と述べましたが、WTCを関西州の州庁に、ベイエリア開発の起爆剤にとの思いが払拭できず、「チャンスがあれば再チャレンジしたい」との発言を繰り返してきました。そして、その背景に関西財界の意向があることは明らかです。
関西財界は、条例案否決に際して「失望」のコメントとともに引き続き移転実現への努力を求めました。また、09年6月23日には、関西経済同友会が、大阪府と大阪市に対し、「9月府議会が最後のチャンス」として、府庁のWTC移転を柱とする、咲洲コスモスクエア地区を関西の競争戦略拠点と位置づけるグランドデザインの策定を要請しました。この咲洲地区を含むベイエリア開発は、「テクノポート大阪」として関西財界が大阪市を巻き込んで進めてきたものであり、その破綻が明らかとなったことから、平松市長が昨年9月に同開発の終結を正式に宣言したものです。府庁舎の移転を口実に、破綻した計画を復活させ、巨額な税金をつぎ込もうとするものです。
今、大阪府民のくらしや営業は大変厳しくなっています。府民が大阪府に対して求めているものは、福祉や医療、教育の充実であり、そこに貴重な税金を使ってほしいということです。
府職労は、府庁舎のWTC移転について、防災拠点としての役割が果たせないことや府職員の職場環境や通勤時間、労働条件の改善にならないなど、本年2月の移転反対声明を出した時点と何ら情勢的な変化がないこと、また、関西財界が2月議会否決の原因を「大阪府市が共同で作成した都市構想の中身がしっかりしていなかったため」と矮小化し、府庁舎移転による府市共同によるベイエリア開発の推進と巨額のムダな税金投入を求めるものであることから、あらためて反対を表明するものです。
(府職の友・09年8月15日付より)