保健師、ケースワーカー、土木技術職などの仲間と総務省・厚労省へ要請
コロナ禍を機に、府職労は「保健師、保健所職員増やしてキャンペーン」を取り組み、現場のリアルな声を発信し、保健師や職員の増員を求める取り組みを進めてきました。そして、現在は他府県や他自治体の労働組合とも協力し、長時間労働の法的な規制や自治体職員の増員を求める全国的な取り組みも進め、昨年11月2日には、総務大臣、厚生労働大臣あてに署名も提出しました。
そして、9月22日には、東京・第二衆議院会館において、総務省、厚生労働省に対し、要請と意見交換を行いました。大阪府、京都府、京都市、埼玉県など、複数の自治体から職員15名が参加し、大阪府職労からは保健師、ケースワーカー、土木技術職など6名が参加しました。
総務省と厚生労働省からは4名ずつの出席があり、参加者からの質問などに答えました。
現場のリアルな実態で追及
「自治体任せ」にせずに抜本的な改善を直ちに行え
冒頭、大阪府職労の小松委員長が、署名提出後の各省の対応や検討状況等を追及しました。総務省は「自治体に時間外勤務の縮減に関する助言を通知した。この数年は災害対応や職員の子育て支援の観点から自治体職員は増加している」と述べ、厚生労働省は「要請に応えうる検討はしていないが、時間外労働は『臨時の必要性』があっても最小限にとどめるべきとの通知を行っている」と述べました。
差し迫った課題であるにもかかわらず、実効性のある検討が進んでいない状況に対して、10項目にわたって質問し、現場の職員10名が現場のリアルな実態にもとづいて追及しました。これに対し、総務省・厚労省は「あってはならないこと」「貴重な話を聞かせてもらった」と繰り返すものの、私たちが求める具体的な規制や財政措置についての言及はありませんでした。
私たちの声を聞いてください
現場からのリアルな訴え
- 「時間外勤務を最小限に」と言われても、現場では結局上限がなくなる。上限は決めてほしい。コロナ前から時間外勤務は多い。コロナ禍は本当に苦しかった。現在もPTSDのような症状があり、当時のことは思い出したくない。
コロナ禍に採用された後輩は、死ぬことも考えたと振り返っている。仕事で自殺対策もしている保健師が自らの自殺を考えなければならなかった事態。コロナをなかったことにせず、時間外勤務に上限を設けてほしい。「自分たちがしなければ」と考えて頑張ってやろうとしてしまう職員を止めてほしい。
(大阪府/保健師)- 昨夜2時に電話が入り、朝7時から対応を始め、現在もLINEで対応状況を相談している。今もLINEが次々に来る。施設は24時間、いつでも対応が求められる。現在、私は毎月約90時間の残業をしている。相談に来られる方は仕事が終わってから来る人がほとんど。それに対応するため、私たちはいつも恒常的に残業しなければならない。「臨時の必要性」とは何なのでしょうか。職員の奉仕の心、福祉の心だけではやっていけない。メンタル疾患で休む人も増えている。仕事を教える人もおらず、若い人が右往左往しながら働いている実態です。
(大阪府/児童相談所職員)- 福知山市ではたびたびの水害が起きている。今年8月の台風では6%が全壊の被害に。インフラ対応も待ったなし。寝る時間もなく3日連続で対応した。復旧作業に水が不可欠なので、絶対に断水させないという思いで対応した。3日たってやっと寝れるかと思ったら「次の現場に行ってほしい」と言われ、心が折れそうになった。交通事故や不慮の事故を起こさせないないためにも、インターバル規制があったらと思うが、それをするにしても人がいないと住民に迷惑をかける。迅速な災害対応のためにも、職員を増やしてほしい。
(福知山市職員)- 30歳代の職員が退職した。コロナ禍の補助金業務で毎晩深夜まで残業していた。日課であった3歳の子どもを保育所に送ることもできなくなり、子どもと関わる時間がなくなり、子どもが目を見てくれなくなったと。転職サイトに登録して、ワークライフバランスを大事にしている会社に転職することにしたと言って、彼は家庭生活との両立を考えて転職していった。
(京都府職員)- 育休復帰後であっても、職場は忙しく、残業も多く、子育てしながら残業している職員も多い。業務軽減どころか、さらに業務を増やしてほしいと言われるケースもある。その結果、心身を崩した職員もいる。現場では子育てのための配慮ができない状況に追い込まれている。
(京都府職員)- 午前2時に帰れるのがマシだったり、翌朝まで仕事をするケースもあった。こうした状態が続くと、頭がぼーっとして記憶も曖昧になったりしている。今はそこまでの長時間超勤はなくなったが、当時、頼りにされていた先輩が体調を崩して退職したり、もう戻ってこれないかと思うくらい休んでしまっている後輩もいる。こんなことは2度と起こらないように規制を設けてほしい。
(大阪府/保健師)- 南海トラフ地震も予想される中、職員が少ないことが不安。それは現状でもギリギリなので。少ないながらも採用もしているが、退職する人も多い。ステップアップの転職もあるが、病気になって休む人もいる。「平時に人を増やせば、仕事をしない職員が増える」と言ってる知事もいるが、職員がいればコロナ応援や災害復旧など、いかせることもあった。土木現場では維持管理も必要なため、人がいればいるほどできることがある。定期的に人材を確保し、訓練や対応力を築いていく人が必要だ。
(大阪府/土木職)- コロナ禍に保健所業務を委託せざるを得なかったのは、有事を想定した人の配置ができておらず、平時から人が足りなかったから。民間の人に教えるのも時間がかかり、業務負担が大きかった。もちろん優秀な人もいるが民間委託で仕事の質は上がらない。電話に出てくれない人や何回言っても間違った情報を伝えるコールセンターの人もいた。日常一緒に働いていることで積み上げていけることもある。保健所に民間委託で対応できる業務はない。
(大阪府/保健師)- コロナのコールセンターを大手旅行会社の下請けに委託したが、誤って情報を伝えることもあり、その「あとかたづけ」が保健所にまわってくることも多かった。みなさん、自分がコロナになったら誰から電話をしてほしいですか?きちんと公衆衛生をしっている保健師がよいと思いませんか?
(京都市/保健師)
現場の声が社会を変える
力を合わせて変化をつくり出そう
意見交換を終えた参加者からは「念願だった厚生労働省と総務省が並んでの意見交換が実現してよかった」「国の職員が自分の言葉で答える場面がいくつかあり、担当者の心に届いたと感じる」「今度はもっとたくさんの全国の仲間と厚生労働省と総務省に詰め寄りたい」などの感想が出されました。
新たに「住民と職員のいのち守る33アクション」がスタート
こうした取り組みを受けて、自治労連は「住民と職員のいのち守る33アクション」を取り組み、全国的に署名(紙ベースとオンライン併用)に取り組みます。署名への賛同、拡散にご協力をお願いします。
また、10月26日(木)19時より「スタート集会」も開催します。ぜひ、多くのみなさんの参加をお待ちしています。
「#いのち守る33アクション」スタート集会
自治体労働者が自らの言葉で仕事を語り、時間外勤務の規制や職員増の必要性を訴え、時間外労働に実効性のある上限規制を設けさせ、公務公共体制の拡充につなげる取り組みである「#いのち守る33アクション」のスタート集会が以下のとおり開催されます。
10月26日(木) 19:00~20:00(接続開始 18:45)
オンライン開催
〈内容〉
オープニング
これまでの取り組みの紹介
職場の仲間の思い
33アクションの呼びかけ
感想交流/クロージング