12月3日、府職労は、労働基準法の趣旨にもとづいて保健師、保健所職員、府職員の命と健康、人間らしい生活を保障するための必要な措置を求め、大阪労働局に要請を行いました。保健所から9人の保健師、職員が参加し、この間の切実な時間外勤務実態を伝え、住民の命と健康を守るためにも、職員の命や健康を守る必要な措置をとってほしいと要請しました。
要請に応じた大阪労働局労働基準部監督課長は「みなさんが住民の命と健康を支えていただいていることに感謝している」「要請の趣旨はしっかり受け止める」と述べつつも、「地方公務員の働き方については労働局だけで判断できない」との考え方を述べました。
しかし、一方で「医学知見にも過労死リスクがあり、望ましくない状態である」「健康確保措置等が徹底されるべき」「そのための体制の確保が必要」「人員が増えない限り解消しない問題であると思う」「大阪府として体制を確保すべき」との考え方も示されました。
この点も踏まえ、府職労は引き続き、大阪府に対して異常な長時間労働の解消、保健師や職員の増員を求めるとともに、自治体職員の働き方の問題について総務省などへの働きかけも強めていきます。
保健師、職員からの訴え
どんなに頑張っても終電前になる
小学生2人と保育園児1人の子育て中です。同じように子育て中の職員も多いため、みんなで代わりあってコロナ対応をしてきました。第4波以降は、どんなにがんばっても終電前になることも多く、子どもたちは我慢して家で待っていてくれましたが「早く帰ってきて」と言う日もあって、毎日、後ろ髪をひかれる思いで出勤していました。
ある同僚は「子どもにとって一年は長い。これ以上は耐えられない」と言っています。何年もこんな状態が続くのかと思うと次が乗り越えられるのかわからないと感じています。コロナ対応では、住民の不安な思いや行政の不満、苦情を聞くことも多く、それは最前線で受け止めています。難病患者を担当している保健師は、障がいのある子どもたちの支援を後回しにはできないと精神的にもぎりぎりの状態で日々仕事をしてきました。
人員不足のせいで、働き続けられないと中堅職員が辞めてしまえば、大阪府の保健師活動の継承もできなくなります。それは、住民にとっても不幸です。この限界な働き方を何とか変えてほしいと思っています。
災害時の公務員の働き方を一緒に考えたい
10年前の東日本大震災のとき、現地に応援派遣されました。小学校の倉庫で現地の職員から現状報告を受けました。寒くて、狭い倉庫でした。茶髪で小柄な養護教員の方の目が小刻みに震えていました。その人の体調がとても心配でした。災害が起きるたびに公務員の過重労働は、課題となりますが、そのまま見過ごされてきました。コロナ禍を経験し、災害時の公務員の働き方について、一緒に考えていただきたいです。
新規・若手職員が相次いで体調不良で休む
感染症対応は、深夜1時、2時まで働き、朝早く出勤して、睡眠不足で心身ともに疲労が蓄積しています。職場では、コロナで後回しにしていた仕事をやっている現状もあり、新規採用の職員や若手職員が相次いで体調不良で休むという状況もあります。過酷な勤務で、とても疲れています。メンタルを病んでしまい、何ごとにも前向きになれないという職員もストレスとたたかいながら必死に職場に来ています。
府民に迷惑をかけたくない
今年の4月から4千人にコロナ関連の通知等を発行してきました。第2波のときに、書類の誤送付をしてしまって、その時は、たくさんの残業をしていた時で、あまり記憶がないのですが、結果としてこういうことになってしまって、府民の方にもご迷惑をおかけしました。私の保健所は、定数がすごく少なくって、その中でやってきましたが、人員が少ないと伝えていましたが、残業を改善されない中で起こったことです。できるだけ、効率化とかして、残業しないように努めているのですが、そういったことが今後もおこらないように、府民にもご迷惑をかけないような職場に変わっていったらいいなと思います。
寝ているのか起きているのかも分からない
私は感染症チームに所属している保健師です。第5波のときは、日付けを超えて帰る日がほとんどでした。最も忙しいときでは夜中の2時半に退勤し、タクシーで3時に帰り、4時に寝て、また朝出勤する日々でした。
このような生活が続き、自分が寝ているのか起きているのかも分からなくなり、常に寝不足とだるさ、吐き気などの体調不良がありました。チーム員も常に体調不良の中、少ないチーム員が誰か1人でも欠けたら、大きな負担になるため、休む訳にはいかないという思いで、皆なんとか出勤していたと思います。子育て中で時短の保健師もいましたが、この間はほぼ取ることができなかったです。新採の保健師も月180時間超えの残業をしている状況でした。そのため、休日は体力回復のために、ほぼ1日寝て過ごしていました。また、感染の波が収まっても、無理をした体に限界がきて、強い眠気やだるさに襲われ、元の体調に戻るのに数ヶ月かかりました。
いつも体調が落ち着いてきた頃に、次の波が来るので、今年はあまり体調よく過ごせた記憶がないです。このときにチーム員とよく話していたのは「せめて人間らしい生活がしたいね」ということでした。保健師は健康を守る仕事ですが、自分たちの健康が害されては仕事ができません。人間らしい生活が送れるよう、人員の増加など職場環境を整えてもらえればと願います。
家族に送ってもらいやっと出勤できている職員も
精神保健福祉を担当しています。コロナ禍では、コロナ対応もしながら自殺未遂の方、医療観察の方への対応も同時進行でやっていました。もともと人数は少なく、コロナ前から時間外勤務は多かったです。夜中に自宅に帰って、お風呂に入っても髪の毛を乾かす気力がないくらいしんどかったり、次の日、起きれなくて駅まで行くことができないくらいしんどかったりして、家族に職場まで送ってもらってやっと出勤できている職員もいます。夜中でも電話がかかってきます。一人で対応して、入院の調整をし、そのあと出勤します。こんな状況が許されるのでしょうか。人間らしく働ける公務員にしたい。住民の立場で考える時間がほしい。災害対応で自分の健康や家族、子どもを犠牲にしなくてもいいようにしてほしい。
子育てとの両立ができなくなる
精神保健を担当している保健師です。コロナは全所体制でチームや課をまたいで、いろいろな役割を担いながら対応しています。私も子育てしているので、早く帰らないといけないこともありますが、やっぱり残っている職員がいると思うと、ちょっとでもやらなければと思います。子どもたちは、学校でもガマンを強いられ、学校に行きたくないと言われることもありました。子育て中の人でも感染症チームであれば、休日前は朝出勤して翌朝6時まで仕事をしている職員もいました。誰かがやらないといけないと終わらないということで、みんな一生懸命やっています。保健所は女性が多い職場なので、このままでは両立ができずに退職してしまうのではないかと思います。こうなったのも大阪府の職員が減らされてきた結果だと思うので、働きやすい環境になるよう大阪府や保健所へ指導してほしい。
生活や人生を犠牲にして働いている
母子難病チームで働く保健師です。子どもがいる職員はもちろんですが、若手女性職員も大変な状況です。生理が止まったり、生理不順になったり。子どもがほしいけどそんなこと考える余裕もないとか、不妊治療もできなかったとか。今後の自分の将来や生活や人生を犠牲にしながら働かれてる姿を見ていると、とても苦しいです。みんなが頑張っているから自分より頑張っている人がいたらすごく頑張らないといけないと思う。誰も自分を大切にできない。自分たちの命や生活も大事にできないことすごく苦しい。どうにか改善していただきたい。
このままでは府民の健康や命を守れない
普段は医療費助成の事務をしています。昨年はコロナの関係で、延長になったりしましたが、今年は通常業務も行いながら第4波、第5波を乗り越えてきました。今現在で800時間を超える時間外勤務となっています。保健師の定数は各保健所1名ずつ増えましたが、長時間労働は解消されない状態が2年間も続いています。
災害であれば復興の道筋が見えますが、コロナにおいては次の波がどうなるのかを常に考えないといけません。オミクロン株も出てきて、第6波が目の前に迫っていて、いったいいつまで続くのかという不安をみんなが抱えています。地震などの災害が起これば、その対応も必要になり、このままでは府民のみなさんの健康や命を守れなくなります。
私たち公務員は災害が起きたときに、最後のライフラインだと常に言われます。これだけの職員が本当に苦しく、感情を出してしまわないといけないくらいギリギリの中で、ときには暴言も浴びながらやっています。本当にこれを「臨時の必要がある場合」として続けていいのか、ぜひお考えいただきたいです。