6月23日、病院機構当局は、府職労・病院労組に対し「2020年度夏季要求書」にかかる最終回答を行いました。
病院労組は6月15日に夏季要求書を提出し、新型コロナウイルス感染症が拡大するもと、と最前線で奮闘している病院の実態も示しながら、切実な要求実現を求めてきました。
最終回答を行った病院機構の田中事務局次長は「貴重な意見を真摯に受け止めている。賃金や諸手当は、国や府に準ずることは承知しているが、収支見通しが依然厳しい状況であり、現時点では回答できないが継続協議とし、要求に少しでも報いる努力したい」との考え方を示し「現規定にもとづく一時金(ボーナス)を6月30日に支給する」と回答しました。
各病院からの発言
▼病院では新型コロナだけでなく、他の感染症対応もしている。マスクやガウンが不足し、感染対策が不十分。外来で来院する人の中には、新型コロナ感染症の疑いのある人もいる。院内感染防止のためにも「発熱外来」を設置する等の対応をすべき。【急性期・総合医療C】
▼府の要請に応じ、コロナ感染患者を受け入れてるが、その結果「経営が厳しくなった」という理由で、府よりボーナスも地域手当も低いのは納得できない。府に負担を求めるべき。【急性期・総合医療C】
▼コロナ感染患者発生に備え、各病棟からの応援体制も取りつつ、他医療機関のがん患者受け入れもし、多忙を極めた。第二、第三波も予想される中、十分対応できる人員配置を求める。【国際がんC】
▼コロナ以外の感染症も対応しているが、防護服などが不足し、感染への不安を感じながら仕事をしている。まずは医療従事者の命を守るための措置をしてほしい。【国際がんC】
▼学校休校等で休まないといけないスタッフの仕事を非常勤職員がカバーしている。均等待遇を求める。【国際がんC】
▼コロナ感染患者対応では、感染を恐れながらの対応が続き、心身ともに疲れ切った。勤務後も感染していないか常に不安がつきまとった。コロナ病棟では、さまざまな病棟から応援者が来ていて、お互い顔も知らず、慣れない体制での対応した。現場の職員に報いるため、最低限のルールは守ってほしい。【はびきの医療C】
病院機構は最低限の約束を守れ
各病院からの発言を受け、病院労組は各要求項目について追及しました。とりわけ「大阪府に準じた地域手当と一時金(ボーナス)の引上げ」について「府立病院が独立行政法人化になったときに『諸手当は大阪府に準じる』と約束したにも関わらず、長年に渡って約束違反し続けているのは許せない」「コロナ対応で命の危険を感じながらも働いている職員に対し、経営難のツケ押し付けるのは筋違いである」と厳しく追及しました。
病院機構当局は「基本給は国立病院、手当等は府に準ずる」という考え方は変えていませんが「経営状況が厳しいので現時点では回答できない」との回答を繰り返しました。
その他にも、非常勤職員の待遇改善、人事評価制度の検証、大阪府に準じて「子育て部分休業(小学校三年生まで)、不妊治療休暇、ボランティア休暇」などの休暇制度の拡充等を求めました。
交渉を継続し要求実現へ
交渉の最後に、病院労組の山本委員長は「最終回答は私たちの切実な要求にいっさい答えておらず、納得できない。『経営状況』を理由に、約束違反を続けていることは許せない。厳重に抗議する。コロナ対応でも府立病院が公的医療を担う病院として、府民の命と健康を守る最前線の役割を発揮することが明らかになった。それに相応しい労働条件が必要であり、そのために税金を使うことは当然だ。もっと言えば、府直営に戻すべき。あらためて、一時金(ボーナス)・地域手当の引上げ、府民の健康危機に迅速に対応できる人員増や病院の体制強化、労働条件の改善を強く求めておく。回答にもあったが引き続き、誠実に協議を重ねることを要請する」と述べ、継続協議を求めました。
府職労・病院労組は、引き続き、安心して働き続けられる病院をめざし、取り組みを強化します。