1.
本日、「維新の会」大阪府議会議員団は、「職員の政治的行為の制限に関する条例」「労使関係に関する条例」を提出しました。いずれも、職員の政治活動の自由や労働基本権を侵害する違憲・違法の条例であり、断じて許せません。
しかも、松井知事は「維新の会」の代表質問に対し、「府職員は、政治的活動に関して、公務員である立場をしっかり踏まえた対応をしている」「地方公務員は、地方公務員法で制限がなされており、府としてはこれを上回った条例による規制をかける必要はないと考えている」と答弁(2012年9月26日、府議会本会議)し、これらの条例の必要性がないと明言しています。にもかかわらず、府職員の使用者でない議員が、労使関係や職員の規律にかかわる条例を提案したことは、首長と議会の権限分配をわきまえないものであり、労使関係に対する不当な介入と言わざるを得ません。
2.
「職員の政治的行為の制限に関する条例」は、職員が規制される「政治的行為」の範囲を国家公務員並みに拡大するというものです。国家公務員法のような包括的・網羅的な政治活動の規制に対して、国連自由権規約委員会は「不合理な制限」とし、撤廃を日本政府に勧告しています。ILO(国際労働機関)は151号条約で「政治活動の自由は公務員の権利」と認め、アメリカやフランスなどの欧米諸国では規制はありません。「公務員の政治活動は自由」が「世界標準」であり、このような規制は世界的にも異常な「時代遅れ」です。
また、公務員は憲法第15条2項による「全体の奉仕者」であり、特定の知事や議会のものではありません。職員が行政のあり方や府政の課題について、積極的に住民と意見を交換することは、住民の福祉をすすめ、よりよい行政を実現するためにも保障されるべきです。これを規制することは、住民との共同を阻害するもので、特定の知事や議会にだけ忠実な職員をつくることになり、行政の中立性・継続性を否定するものです。
3.
「労使関係に関する条例」は、管理運営事項(地方公務員法55条3項)について、労働組合との意見交換すら禁止するものです。管理運営事項であっても、勤務条件などに関連する場合は、団体交渉の対象となるのは当然です。「管理運営事項である」という理由によって、意見交換までも禁止することは、労使の意思疎通を阻害し、最前線で住民の意見を聞き、専門性や経験を蓄積した職員の意見を排除することになり、行政運営にも支障を来たすことにつながります。総務部長も府議会で「職員団体が本来の役割を果たしていただくことは良好な職場環境をつくるうえでも必要なこと」「職員団体と言えどもすべての政治活動が禁止されているわけではない」(2012年3月9日、府議会総務常任委員会)と答えています。
また、条例は任命権者に「適正かつ健全な労使関係の確保」のために、労働組合等の活動を検証し、一方的に違法と判断した組合活動を抑止する措置を求める権限を付与するなど、労働組合等の自主的な運営や活動に介入するもので、労使対等の原則に反するものです。さらには、労働組合等に対する便宜供与を全面否定するもので、大阪市においても、労働組合等の会議や集会のためへの市の施設の使用を不許可とするなど、組合活動への不当な介入の道具として悪用されています。これらは、労働組合そのものを否認するものであり、憲法28条の労働基本権を踏みにじる違憲の条例といわざるを得ません。
4.
以上のとおり、これらの条例の違憲性・違法性は明らかです。府職労は、職員の自由と権利を奪い、府民サービスの向上に逆行する条例の制定は断じて許さない立場で、住民との共同を広げ、全力で奮闘します。
2012年10月23日
大阪府関係職員労働組合
▼PDFファイルはこちら
【府職労声明】【職員の政治的行為の制限に関する条例案】【労使関係に関する条例案】