府労組連は本日、橋下知事に対して25項目の府労組連夏季要求書(裏面参照)を提出しました。
提出にあたり辻委員長は、「教育に穴があく」問題、若い職員・教職員のなかに広がる将来不安の2つの問題を指摘。「学校現場で、非正規を多用した結果、代替講師不足を招き、教職員の病休、産休などの当然の権利が脅かされている」、「母性や保育の制度改悪、異常な超過勤務のなかで、『学校や大阪府で働き続けられるだろうか』という声が広がっている」と述べました。府労組連の要求に対し、橋下知事は「総務部において鋭意検討」としたうえで、回答を示したいと述べました。
加えて辻委員長は、大阪府が新たに策定しようとしている「財政構造改革プラン」について、「大型開発などムダ遣いを続ける一方で、府民施策と府職員の人件費をいっそう切り下げるものであってはならない」と指摘し、賃金・労働条件にかかわる問題について府労組連との十分な協議を求めました。
なお府労組連は知事への要求書提出のあと大阪府人事委員会に対し、要求実現への尽力を要請するとともに、府の進める給与制度見直しに追随することなく中立機関としての役割を果たすよう求めました。
平井書記長は、「要求書」趣旨説明の冒頭、府民の雇用確保や生活改善、大阪の経済活性化のためにも、府民向け施策の拡充とともに、府職員や府関連職場で働く労働者の賃上げによる内需拡大が必要と述べ、今季重要課題6点の要求説明を行いました。
【今夏季闘争での中心的要求と説明要旨】
給与カット中止、夏季手当のカットなしの支給
府職員・教職員の生活状況は、通算12年間に及ぶ給与抑制、一時金の削減と08年からの平均13%の人件費削減、09年度一時金の0.35カ月削減などによって、大変厳しくなっており、将来の不安が深刻だ。3年間の給与カットは1283億円、一時金カットで約240億円、合わせると1500億円を超える人件費削減を職員に強要しており、士気や勤務意欲が大きく低下している。また、府職員の給与抑制が、府準拠の労働者、民間労働者の賃金抑制につながり、大阪経済の落ち込みの要因にもなっている。
日本経団連の調査では今季の夏季一時金の妥結状況はプラス1.51%と引上げられており、給与カットの中止と夏季手当をカットなしで支給することを求める。
非正規職員の待遇改善と正規職員化
非常勤職員や非常勤講師などの非正規職員、大阪版市場化テストや民間委託による委託先労働者、福祉や介護、医療職場で働く労働者など大阪府内の公務サービスを担う労働者は、極めて劣悪な賃金・労働条件の下におかれており、府民サービスを維持・改善する上でも放置できない状況だ。
府民サービスの向上と公務の継続性や安定性を確保するためにも、学校と府庁に働く非正規職員の雇用の安定と賃金の引き上げ、待遇改善を強く要求するとともに、恒常的な業務を担っている非正規職員を正規職員に切替えることを求める。
時短の早期実施と保育休暇の復元
2月議会で、勤務時間を短縮する条例改正が行われ、拘束時間を短縮する方向での時短が決まった。しかし、その実施時期や具体化についての提案や協議がなされておらず、今夏季交渉において具体的な協議を行うよう強く求める。
また昨年度、保育休暇の廃止が強行されたが、時短の実施まで存続となっている。府労組連はあらためて、特別休暇見直しで廃止した休暇の復元、保育休暇の実質確保を求める。
長時間過密労働の解消、人員削減反対
戦略本部会議で決められた人員削減が、知事部局で、年度当初からの欠員や、業務加重による課や部を越えた応援体制が発生し、長時間過密労働につながってる。
当局として、勤務実態の把握を行い、時間外勤務の縮減とサービス残業を根絶する具体的な対策を求める。そのために、正規職員の確保を求める。
また、学校現場の08年度の病気休職者のメンタル疾患は74.2%と全国比で10ポイント以上高い。この背景に、教職員定数の絶対的な不足があり、教育行政によるトップダウンの「教育改革」と管理強化がそれに拍車をかけている。
府労組連の長年の要求に応え、府教委は6月1日から「勤務時間の把握」を行うことになった。これが超過勤務の解消や休憩時間の取得にむけた実効ある措置となるようにすること。また超過勤務の解消策等について、労使協議を行なうことを求める。
「教育に穴があく」事態の解消
委員長あいさつでも強調した「教育に穴があく」問題については、4月の国会で川端文部科学大臣は「しっかりとした授業が正規教員で図られることが大前提である」と答弁している。臨時教職員の多用を規制し、正規教職員の配置をするなど、早急な改善を求める。
■すべての職場から職場決議の集約を
府労組連は、橋下「行革」による府民切捨て、府職員・教職員犠牲を許さず、組合員の団結と職場からのたたかい、官民一体・府民共同を前進させ、切実な夏季要求の実現を目指します。