橋下知事の憲法蹂躙発言に抗議し、撤回を求める要請書

2010 年4 月7 日
大阪府知事 橋下 徹 様

大阪府関係職員労働組合
執行委員長 平井 賢治

橋下知事の憲法蹂躙発言に抗議し、撤回を求める要請書

橋下知事は、4 月1 日の新規採用職員入庁式で、これまで大阪府としては例のない「君が代」斉唱を求めました。斉唱後には、「声が小さい」「思想、良心の自由とか言っている場合ではない」「日本国家の公務員として、国歌はきちんと歌うのが義務」と訓示しました。また、3 月には、東寝屋川高校卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったという理由で、3 名の教諭の処分がはじめて大阪府教育委員会から発表されました。
大阪府知事、大阪府教育長から「君が代」斉唱にかかわる強制や強権的処分は、看過できるものではありません。
日本国憲法は、侵略戦争の反省のうえにたち主権在民、基本的人権の尊重が謳われ、憲法第19 条で「思想および良心の自由は、これを侵してはならない」と個人の思想信条の自由は明確に保障されています。また、橋下知事は「国歌はきちんと歌うのが義務」と発言していますが、99 年8 月に施行された国旗・国歌法の条文は、第1 条で「国旗は、日章旗とする。」第2 条は、「国歌は君が代とする。」というだけの法律であり国歌を国民が歌う義務の規定などはなく、背景には橋下知事の政治的意図があらわれています。「君が代」を歌う、歌わないは、個人の内心の自由であり、強制することは内心の自由をも侵害するものです。
橋下知事は、憲法を遵守すべき大阪府を代表する知事です。公務員には、思想信条の自由がないかのような発言は、見識を疑う以前の問題であり、強大な権力を振るう恐怖政治そのものです。
私たちは大阪府に入庁し、地方自治法に明記されているように府民福祉の向上めざし日夜奮闘している大阪府の職員です。戦前の天皇制のもとでは、都道府県は国家のもとに置かれ、職員は官吏として国家に仕える役人とされていました。しかし、戦後、地方自治法が制定され、地方自治体は、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担うことが規定されました。「国家のもとで仕事をしている」ものでないことは明らかであり、地方自治の形骸化と戦前に逆戻りさせる危険な発言といわざるを得ません。
府職労は、入庁式での一連の知事発言の撤回と「君が代」斉唱に抗議するとともに、今後「君が代」斉唱の押し付けを行わないことを強く要求します。

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