特別休暇改悪撤回団体交渉
民間・全国からの支援を受け、団体交渉で徹底追求
まともに答えられない当局に怒り集中
1月20日府労組連は、団体交渉を行い、848の職場決議、23008筆の撤回署名を企画厚生課長に手交するとともに、職場実態に基づく切実な怒りの声を当局にぶつけ、時代の流れに逆行する特別休暇の改悪提案撤回を迫りました。
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特休改悪で府のメリットは一切ない
府労組連の「今回の提案は、職員の勤務意欲を低下させるだけだ。大阪府にどのようなメリットがあるのか」との追及に対し、企画厚生課長は「『府民に理解を得られるよう』との指摘があり、国制度を基準として見直しを行った」と答えるだけで、メリットについてはまともに答えられませんでした。また「妊娠や出産は病気ではない」と認めておきながら、国が病気休暇であることを理由に「廃止し、病気休暇での対応にした」と回答しました。大阪府の病気休暇制度は一昨年、国を下回る制度に改悪され、病気休暇を取得するためには診断書等が必要となっています。「病気ではないのに病気休暇は取得できない。結果として休むことができなくなるがどう認識するのか」「妊娠障害休暇など他府県の実態は、ほとんどが特別休暇となっており、地方公務員法からも労働基準法からも国基準に合わせる理由は全くない」とあらためて母性保護に係る改悪は撤回するよう求めましたが、「全体としてみれば、府の特別休暇は手厚い」とこれまでの交渉経過や職場実態を無視する答弁を行い、参加者の大きな怒りが噴出し、交渉は紛糾しました。
職員・教職員を退職に追い込む保育休暇の廃止
保育休暇については「特別休暇だからこそ、職場の仲間の協力を得ながら仕事が続けられる。廃止されれば退職しなければならない職員が出る。また、部分休業になれば結果として、個人の選択に任され取れなくなる」との追及に対し、当局は「大阪府にしかない制度。制度発足時はなかったが、今は部分休業の制度がある。経済的な問題はあるが十分代替可能と考えている」とあくまで廃止の考え方に固執しました。また「保育所への送迎等を配慮して弾力的運用として早出・遅出の制度を検討している」との回答に対して「実態を全く理解していない。何の解決にならない」と指摘しました。
また、新たに「子の看護休暇」について「民間での施行が6月30日になったことに伴い、国が同じ時期の施行とする可能性もあり、府も国と同様の措置にしたいと考えている」との考えを述べました。それに対し、府労組連は「少なくない県で4月1日実施を決めている。6月30日ではなく、4月実施すべきだ」と追及しました。
夏期休暇、リフレッシュ休暇等については「職員の年休取得率は低下している。そのもとでも夏期休暇やリフレッシュ休暇の取得率は高い。改悪は認められない」と提案の撤回を迫りました。
交渉の最後に、辻委員長はあらためて「妊娠出産は病気ではないと認識しているか。母性をもって、勤務労働条件上の差別を受けてはならないと認識しているか。男女の賃金差別の拡大はあってはならないと認識しているか」と当局の姿勢を質しました。当局は「基本的にはそう思う。大阪府は男女の性差で差別していることはない。実態として勤務実態がない場合は、賃金に差がつくことはある」と答えました。この当局の答弁に対し「母性保護にかかる休暇を病気休暇扱いにすれば、昇給などにペナルティを与えることになる。女性であるがゆえの休暇であり、それを保障しなければ間接差別になる」「保育特休も部分休業を取れば、賃金カットされる。子育てがペナルティになるではないか」と怒りの声が続出し、再び交渉は大紛糾しました。
府労組連は引き続き、全職員署名、職場決議、決起集会、府民宣伝などの取り組みを進め、職員の怒りを結集し、府民との共同を広げ、全力で奮闘します。
団体交渉での職場からの発言
【大教組】
府障教府教委自身、86年、92年と調査を行い今の制度になったが、09年の流産、異常出産が34.9%。深刻な状況は20数年前と変わっていない。今回の病休対応はひどい。職場の怒りは大きい。専門医も府の制度は時代に逆行していると指摘している。12月に流産した職員は、特別休暇があったから体も心も回復した。制度改悪で次に妊娠したら職場を辞めざるを得ないのではないか心配している。
【府職労】
健康福祉支部今回の保育特休の廃止提案は児童福祉法の精神に反する。分会で保育特休を受けている人の意見をきいた。廃止になれば保育所のお迎えに間に合わなくなる。保育所で受けてくれても、延長保育になる。長時間保育になり、子どもへの負担が増す。職場では府民の福祉の業務を行っているが、時間単位で仕事をこなしている。この改悪で子どもと過ごす時間が減り、子どもの生活リズムに影響を与え成長を阻害する。民間の子育て支援の阻害となるような提案は撤回し、民間も含め子育て支援の底上げを提案すべきだ。
【大教組】
府高教寄せ書きに女は子を産むな、育てるなということか。とあった。子どもを起こす、食事をさっせるなどドタバタの中で子どもを預ける。今の制度でもぎりぎりでやっている。提案は、女性を不利な立場に追いやる間接差別。保育特休は条例にあるから仕事に責任がもて、周りの職場も配慮してくれるし、とりやすい。部分休業や有給休暇では、職場の配慮がなくなる。
【大教組】
堺教組151職場決議、2500署名などこれまでの最高を集約した。今回の提案は人間の尊厳を踏みにじるもの。府は男女共同参画、子育て支援を民間に広げる立場。この提案で当局が得るものは何もない。リフレッシュ休暇廃止も教職員の士気にかかわる。子育て世代、高齢者、管理職も含めて展望をなくしている。知事は支持率に胡坐をかいているが、今回のことは、痛手となって帰ってくることを忠告しておく。
【府職労】
青年部福祉の職場では、昼も夜も関係なく、府民のために、一生懸命に仕事をしている。休憩さえ取れず、座ることさえなしで、仕事をすることもある。特別休暇改悪の提案は、こうした職員の日々の懸命の努力を真っ向から否定するものだ。この改悪で、特に困るのは、青年だ。結婚、妊娠、出産、子育てなど、まさにこれからの大阪府を担う青年の問題だ。給料も下げられ、共働きでないと生活できない状況で、妊娠、出産、保育の改悪は言語道断。職員が一生懸命に仕事をがんばれるよう、良い仕事をするための環境整備をするのが、当局の役割。優秀な職員を確保するのも難しくなる。公務の仕事は人の力だ。府の未来を担っていく若手のためにも、今回の提案をもう一度、考えなおせ。
【府職労】
教委支部職場では、正規職員が減らされ非常勤や委託に変わる中で、正規職員は大変だ。時間内は必死で仕事をしている。職場のみんなのおかげで30分の保育特休が取れて、感謝しているが、保育特休がなくなり、部分休業などとなれば職場が回らなくなる恐れがある。結局部分休業も取れなくなると危惧している。育児は個人責任なのか。仕事をやめざるを得なくなる。今の仕事がすきで、働き続けたいと思うことは贅沢なことなのか。府では許されないことなのか。保育特休の廃止は絶対止めるべきだ。
子育て支援制度改悪に、怒りの共同広がる 人間らしく働くことのできる大阪をつくろう 会場をうめつくす1・20決起集会
歴史の歯車を逆転させる提案は撤回せよ!子どもを産み育てられる大阪にしよう!大阪労連・府民連・府労組連の3者共催による「子育て支援制度大改悪ストップ!人間らしくはたらく大阪めざす1・20決起集会」は、会場となった府庁正面玄関駐車場を埋め尽くす参加者のもと、知事提案に対する怒りと改悪を許さない決意みなぎる集会となりました。
集会には、大阪労連傘下の民間労組、「府民連」(府民要求連絡会)に結集する女性団体をはじめとした各団体からも多数が結集しました。
主催者あいさつで大阪労連・川辺議長は、「生休を病休とする提案は、労基法に抵触するものだ」としながら、職員賃金の大幅カット、府民も反対するWTC移転に続く今回の改悪は、「無茶としかいいようがない」と、知事の姿勢を厳しく批判しました。その上で、撤回めざす府民共同をいっそう前進させ、府政転換の橋頭堡にしようと、力強く結びました。
集会には、共産党府議団から3名の女性議員の参加があり、連帯のあいさつをうけました。代表して黒田まさ子議員より、出産・子育てを「自己責任」とする提案は、「男女平等をかかげた国連女性差別撤廃条約に反する」、府民との共同で子育てと仕事を両立できる条件を整えていくことに逆行する制度改悪を許さないために、「共に力をあわせましょう」との決意が表明されました。
また、府民連に結集する新日本婦人の会からは、「妊娠などの母性保護にかかるものを病気とする提案には、強い怒りと衝撃をうけている」とし、会としてさっそく知事に対する抗議をおこなったことが報告されました。また、府の制度をモデルに、働く条件を改善させてきた民間職場のたたかいを紹介して、次世代育成の「モデル職場」としての府の役割を放棄する改悪提案は、大阪に働くすべての労働者の働く条件を後退させるものだと、訴えました。
大教組女性部、府職労教委支部に続き、大阪労連から決意表明がありました。「怒りをもって提案を聞いた」と切り出した「地域労組・おおさか」の書記長は、妊娠・出産によって退職においこまれる厳しい民間実態を紹介しながら、「こんな状況の中で、府の制度が後退すれば、民間職場で改善していくことはできない」と述べて、民間労組も共同してたたかうと表明しました。
集会後、参加者はデモに出発。“時代を逆行させる改悪は許さない”“橋下知事は、子育て制度を後退させるな”“人間らしい働くルールを確立しよう”参加者のシュプレヒコールが府庁周辺に大きく轟きました。