10月8日、大阪府当局は「知事に対し不適切な表現を使用して電子メールを送信した」「府職員としての自覚に欠ける行為であり、服務規律に違反する」として、知事に反論メールを送信した職員に対し、所属長から厳重注意を行いました。また、当該職員の管理監督者である所属長に対し「部下の指導の徹底を図る」として、部長から厳重注意を行いました。これに対し府職労は、今回の処分は知事が「上司(知事)に対する物言い」が気に入らないということを理由に決定されており、極めて恣意的であり、許せるものではないとして、断固抗議し処分の撤回を求めました。【全文:pdfファイル】
抗議・撤回の要請に対し、府当局は「今回の処分は地公法上の処分ではなく、指導行為である。メールの書き方が問題であった。職場の服務規律確保のために出されたもので撤回はできない」とし、個人メールが漏洩したことについては「適切に対処したい」と答えました。これに対し、府職労は「職場では『上司に対し自由に物が言えなくなる』という声も多く出されている。そもそも知事のメール内容も問題であり、今回のやり方は納得できない、撤回すべきだ。物の言い方が問題であるというのであれば、当局はその基準を示すべきだ」と追及しました。当局は「職場での自由闊達な意見交換を否定するものではない。物の言い方の基準は、一般常識の範囲」と答えるにとどまりました。
税金ムダ使いの責任を職員に押しつけるのは本末転倒
今回の知事からの全職員あてのメールは、余野川ダム中止に伴い、すでに大阪府が支出している5億円の負担金と、水需要の予測失敗による利水からの撤退によって府の損失が386億円となっていることを捉えて、「どうも税金に関して、僕の感覚と役所の皆さんの感覚は違います」「恐ろしいくらい皆さんは冷静」と、職員が税金のムダ使いを容認しているかのように描き「民間の普通の会社なら、組織をあげて真っ青」「組織ががたがた震えます」「ボーナスなんて簡単に吹っ飛ぶ」「何があっても給料が保障される組織は恐ろしい」と、職員が税金のムダ使いをしていると決め付け、その責任が職員にあるかのように描き出しています。
WTC移転こそムダ使い 知事の感覚は「財界の感覚」
そもそも余野川ダムの建設をはじめ、大型公共事業に巨額の税金を注ぎ込む施策に対して、府職労や多くの職員・府民は一貫して反対してきました。そうした職員や府民の声を無視して、国や関西財界言いなりでダム開発や大型開発を推進してきたのは、当時の知事と議会であり、その責任を職員に転嫁するかのようなメールは本末転倒です。しかも、橋下知事の策定した「維新プログラム案」の中でも、全て売却できても750億円の赤字となることが明らかと言われている「水と緑の健康都市」事業も継続しています。また府庁WTC移転にいたっては、2月府議会で否決されたにも関わらず、関西財界の強い要請を受けて、強行しようとしており、第2庁舎構想まで持ち出し、何が何でもWTCを買い取るという姿勢です。このことの方が税金のムダ使いであり、府民の感覚とはかけ離れた「財界の感覚」ではないでしょうか。
日々、全体の奉仕者として、各職場で府民のために、職務を遂行している職員が、こうした本末転倒で、職員への責任転嫁とも思えるメールに対し、疑義を持ち意見を述べたくなるのは当然のことです。しかも、知事はこの間の全職員メールの中で、「なんでもいいので、どんどんメールを下さい!」「僕の方針に対するご意見・ご批判もどんどん下さい」「皆さんからのメールの取り扱いについては、皆さんからの指示に従います」と言っています。また、8月19日に開催された部長会議では「私の意思と反する意見が出ることもあるだろう。しかし、それを抑えるのではなく、丁寧に話して想いを伝えていただきたい」とも言っています。にも関わらず、職員が批判的な意見を返信したことによって「上司に対する物言いとして非常識」「民間ならあり得ない」「府民の代表に物を言ってる自覚が足りない」として、マスコミに対して、その怒りをぶちまけ、処分するということは、自らの「感覚」にあわなければ処分するということであり、断じて許されるものではありません。また、その手法についてもメディアを使って職員の意見を抑えつけるというものであり、二重に許せません。今回の対応は、明らかに反対意見を「処分」という権力によって抑え込む行為であり、まさに処分権の濫用であり「府民の代表」を嵩に着た恐怖政治と言わざるを得ません。
知事の独裁的府政運営許さず府民のくらしを守る府政実現を
私たち府職員は、府民全体の奉仕者として、府民サービスの向上のために、自由闊達に意見を出し合い、府民のために職務を遂行することが、本来の職務です。今回の知事の恣意的・主観的判断によって、気に入らない職員を権力によって抑え込む行為は、職場に閉塞感を与え、上司に対して自由に物が言えない状況を作り出すことになり、さらには府民よりも知事・上司の顔色をうかがいながら仕事をする職員を作り出すことにつながります。
府職労は、橋下知事の独裁的な府政運営や財界の要請に応えた大型開発による税金のムダ使いを許さず、府民のくらしを守る府政実現をめざし、引き続き全力で奮闘します。
職員処分に断固抗議するとともに、処分の撤回を求める要請書
府当局は8日、橋下知事が全職員あてに送ったメールに対し、反論するメールを送信した職員に対し、「知事に対し不適切な表現を使用して電子メールを送信した」として、「府職員としての自覚に欠ける行為であり、服務規律に違反する」として、所属長から厳重注意を行った。
知事が全職員に送信したメールでは、余野川ダムの中止に伴う国への負担金5億円、利水からの撤退によって386億円の損失について、「どうも税金に関して、僕の感覚と役所の皆さんの感覚は違います」「恐ろしいくらい皆さんは冷静」と、職員が税金のムダ使いを容認しているかのように描き、「民間の普通の会社なら、組織をあげて真っ青」「組織ががたがた震えます」「ボーナスなんて簡単に吹っ飛ぶ」「何があっても給料が保障される組織は恐ろしい」と、その責任が職員にあるかのように描き出しています。
しかも、知事は当初の全職員あてのメールで「僕の方針に対するご意見・ご批判もどんどん下さい」「府民のため、大阪のために役立つというこの一点において、仕事へのこだわり、個性を出して奮闘してください」と言っておきながら、批判的な意見を返信した職員に対し、「上司に対する物言いとして非常識。民間ならあり得ない」「府民の代表に物を言っている自覚が足りない。どこかでけじめをつけなければいけない」として処分することは、極めて恣意的な判断による処分権の濫用であり、断じて許せるものではない。
私たち職員は、各職場で府民サービス向上のため、自由闊達に意見を出し合い、全体の奉仕者として府民のために仕事をすることが、本来の職務であり、府民から求められている姿である。今回の処分は、職場に閉塞感を与え、職員が上司に対して自由にものが言えない状況を作り出すものです。また、「不適切なメール」としているが、その判断は極めて主観的かつ恣意的なものであり、具体的基準を示すことなく、処分を行うことも極めて問題である。府職労は今回の処分について、断固抗議するとともに、その撤回を求める。
また、個人メールの内容がマスコミに漏洩し、報道された事態について、当該職員の個人情報や人権侵害にも関わる重大問題であり、この点についても断固抗議し、当局の管理責任を厳しく追及するとともに、原因解明と再発防止策についての検討・協議を求めるものである。